狩人は都を駆ける [日本の作家 我孫子武丸]
<裏表紙あらすじ>
京都で探偵事務所を営む「私」のもとに久々にやってきた仕事の依頼は、なんと誘拐事件の解決。もっとも誘拐されたのは家で飼われていたドーベルマンで、つまりは犬の捜索が仕事なのだった……。苦手な動物がらみの依頼ばかり次々に舞い込む探偵の困惑と奮闘を描いた傑作ユーモア・ハードボイルド五篇を収録。
あの「ディプロトドンティア・マクロプス」 (講談社文庫)の続編、というか、前日譚です。まあ、後日談は無理でしょうが...(笑)
「ディプロトドンティア・マクロプス」 (講談社文庫)の破天荒(?)さにすっかりやられてしまったので、この「狩人は都を駆ける」にも当然期待して読みました。
いやあ、普通だなぁ。--いや、そりゃあ、「ディプロトドンティア・マクロプス」 (講談社文庫)と比べたらたいていの作品は普通ですけどね。
我孫子武丸のユーモアは、どちらかというとベタな笑いが持ち味で、この作品集もそういう雰囲気です。
ちなみに、タイトルにある都、は東京ではなく、京都です。このあたりすでにおかしくなってしまうんですが...(京都の人は、こんなこと言ったら怒りますかね?)
短編集ですが、なかでは冒頭の表題作が一番でしょうか。扱いにくい依頼人と誘拐(誘拐されるのは犬、ですが)という典型的なハードボイルド風の出だしから、ミステリとしてのテーマがすっと浮かび上がってくるところがポイントだと思います。
いずれの作品も、ペットをスタートにした物語が、きちんと人間の物語として結びを迎えるので、「なんだよ、犬猫の話かよ」と思わず、お手に取ってみてください。
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