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ハッピーエンドにさよならを [日本の作家 あ行]


ハッピーエンドにさよならを (角川文庫)

ハッピーエンドにさよならを (角川文庫)

  • 作者: 歌野 晶午
  • 出版社/メーカー: 角川書店(角川グループパブリッシング)
  • 発売日: 2010/09/25
  • メディア: 文庫


<裏表紙あらすじ>
夏休みのたびに私は母の実家がある田舎へ行った。新鮮な山海の料理に、いとこたちとの交流。楽しい夏の日々だ。あの部屋にさえ入らなければ……。(「死面」) 理恵が合コンで出会い、付き合ったのは、容姿はよいがかなり内気な男。次第に薄気味悪い行動を取り始め、理恵は別れようとするのだが…… (「殺人休暇」)。平凡な日常の向かう先が、“シアワセ”とは限らない。ミステリの偉才が紡ぎだす、小説的な企みに満ちた驚愕の結末!

11編を収録した短編集で、「ハッピーエンドにさよならを」 というのは通しタイトルで、そういう題の短編があるわけではありません。

イヤミスという語がはやったことがありました。「読後嫌な気分になるミステリー」。どろどろとした人間心理をとりあげて、読み終わった後ですっきりできない、やりきれない気分になるタイプのミステリーで、湊かなえや真梨幸子などの作品がよく引き合いに出されます。
「ハッピーエンドにさよならを」 というタイトルからは、イヤミスが連想されて、買っておいたもののなかなか手には取れませんでした。
読み終えてみると、ハッピーエンドではないし、嫌になる心理も描かれていますが、「イヤミス」感はありませんでした。
もともとミステリは、犯罪を犯そう、という人物を採り上げるわけですから、ゆがんだ人間心理を描くことは多いわけで、それがすべて「イヤミス」というわけではないのだから、余計な心配でした。
ん? それともこちらが鈍感になってしまっている??
いやいや、歌野晶午の手つきが、異常心理を描きだし、読者につきつけることを目的にしているのではなしに、ミステリのオチ、驚きの演出のための道具として異常心理を扱っているからだと思います。あくまで、ツイストの効いた作品をお届けするのが目的なのです。だから、普通の、皮肉な結末を迎える短編集、ということだと思います。
アン・ハッピーエンドであることを宣告しているわけですから、結末の見当が読者についてしまう危険を抱えた短編集と言えるのですが、そして確かにそういう側面もあるのですが、あの手この手で、さまざまなテクニックを駆使して、いろいろなパターンのアン・ハッピーエンドを演出されていますので、お楽しみください。

タグ:歌野晶午
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