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君がいなくても平気 [日本の作家 石持浅海]


君がいなくても平気 (光文社文庫)

君がいなくても平気 (光文社文庫)

  • 作者: 石持 浅海
  • 出版社/メーカー: 光文社
  • 発売日: 2011/10/12
  • メディア: 文庫


<裏表紙あらすじ>
水野勝が所属する携帯アクセサリーの開発チームが大ヒット商品を生み出した。だが祝勝会の翌日、チームリーダーの粕谷昇が社内で不審死を遂げる。死因はニコチン中毒。当初は事故と思われたが、水野は同僚で恋人でもある北見早智恵が犯人である決定的な証拠を見つけてしまう。なぜ、彼女が…!? 人間のエゴと感情の相克を浮き彫りにする傑作ミステリー。

ここから、9月に読んだ本の感想になります。

石持浅海の作品の登場人物は少し変、というか、発想についていけない人物が多いのですが、この作品の主人公もそうです。
水野勝、実に嫌な奴です。視点人物がここまで嫌な奴って、珍しいと思います。
つきあっている恋人早智恵が犯人だと分かった。早智恵が逮捕されてしまうと自分の社内での立場が悪くなるので、その前にこっそりと別れてしまおう。
こういう思考回路を持つ人、いるでしょうか?
もちろん、人殺しは悪いことですし、許されることではないけれど、「どうして殺したんだろう?」と心情を思いやることもなく、ただただ面倒に巻き込まれそうなので、早く別れようって...
大して好きでもなく、惰性でつきあっているんだ、なんて予防線を張っていますが、自己正当化する水野勝の視点で物語が展開されていくので、ちょっと鬱陶しくなるところあり。
なんだかなぁ...

でも、それに目を瞑り、前提としてしまうと、実に興味深いミステリになっています。
その嫌な、嫌な水野の性格を起点として、ラストで水野と早智恵の関係性をひねってみせるところなんて、感動はできなかったのですが、うまくまとめたなぁ、と感心しました。

この作品でもっとも感心したのは、ニコチン毒の使用をめぐるある考察。
326ページで同僚桜沢により披露されるのですが、なるほどな、と思わせる指摘。身近なものであるがゆえに言えるもので、おもしろい着眼点だと思いました。

ところで、このタイトル、誰のせりふなんでしょうね?
タグ:石持浅海
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