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狂犬は眠らない [海外の作家 か行]


狂犬は眠らない (ハヤカワ・ミステリ文庫 ク 14-1)

狂犬は眠らない (ハヤカワ・ミステリ文庫 ク 14-1)

  • 作者: ジェイムズ・グレイディ
  • 出版社/メーカー: 早川書房
  • 発売日: 2007/12/14
  • メディア: 文庫


<裏表紙あらすじ>
スパイとして働きすぎて頭がいかれた5人組――秘密の精神科病院に収容された元CIAのメンバーは、各々ハンデをかかえていた。ラッセルは音楽を口ずさまずにいられない、ゼインは暑さに全く耐えられない、ヘイリーは常に悲観的、エリックは誰の命令にも服従してしまう、ヴィクは時々フリーズする。そんな彼らが病院で起きた医師殺しの真犯人を見つけるべく脱走を決行! 薬がきれて暴走する前に真相に辿りつけるのか?

2008年週刊文春ミステリーベスト第10位です。
帯に、
「祝 第1回 世界バカミス☆アワード受賞」とあり、「バカミス愛好者の投票で第1位を獲得」
とあります。
ちなみに(?)、第2回受賞作は鳥飼否宇「官能的―四つの狂気」 (ミステリー・リーグ)、第3回受賞作は倉阪鬼一郎「三崎黒鳥館白鳥館連続密室殺人」 (講談社ノベルス)のようで、2010年の第3回のあとは開催(?) されていないようです。
バカミスとは何か。裏表紙側の帯では「とんでもない内容で、つきぬけた面白みに満ちたミステリのこと」と説明されています。

たしかに、精神病院に収容されているメンバーによる活躍、というのはなかなか思い切った設定です。
昔、トニー・ケンリックに「三人のイカれる男」 (角川文庫)という作品があるのを思い出しました(とはいえ、細かい内容は覚えていないんですけどね...)。

さて、設定そのものは思い切ったものですが、中身はしっかりしたサスペンスです。
真相追及と同時に、タイムリミットサスペンスの要素もあり、また、道行きなのでロード・ノベル風でもあり、と盛りだくさん。5人それぞれがどうして今精神科にいるのか、過去を振り返るシーンもあります。
なにしろ敵は政府機関(と思い込んで行動していくの)だし、薬が切れると、どうなるかわからない、という不安を抱えているし、そんな中、5人が助け合いながら進んでいく姿には、本当にのめりこんでいけると思います。愛すべき5人組(+α)です。

翻訳家田口俊樹さんの解説によると、本書は、訳者三川基好さんの遺訳だそうです。
「バカミス」という語にこだわらず、広くおすすめします。




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