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赤目姫の潮解 [日本の作家 森博嗣]


赤目姫の潮解 LADY SCARLET EYES AND HER DELIQUESCENCE

赤目姫の潮解 LADY SCARLET EYES AND HER DELIQUESCENCE

  • 作者: 森 博嗣
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2013/07/25
  • メディア: 単行本



単行本です。
“潮解”の意味が分からず、調べました。
「結晶が空気中の水分を吸収して溶けること」(goo辞書)とか「固体を大気中に放置するとき,その固体が空気中の水分を吸収し,その水分に固体が溶け出す現象」(世界大百科事典) とか書いてありました。ふーん。
これを知っても、たいして内容の理解には役立ちませんでしたが...

作者のホームページ『浮遊工作室』を拝見すると、
「女王の百年密室」 (新潮文庫) (講談社文庫)
「迷宮百年の睡魔」 (新潮文庫) (講談社文庫)
に続くシリーズ第3弾のようです。
サエバ・ミチルもロイディも普通の意味では出てきません。
世界というか雰囲気が共通ということですね。
作者によると、『内容は、ファンタジィなのかSFなのか、よくわかりませんが、自分としては「幻想小説」のつもりです。 』とのことで、非常に難解です。

砂で描かれた曼荼羅、一夜で動くオアシス。ちょっと見覚えのある意匠も出てきますが、時間も空間も人物も融通無碍。視点もすーっとすりかわっていきます。さらには人間だと思ったのが人形だったり、人形と思われたのが人間だったり。
でも不思議と視点の変更で混乱はしません。いや、それよりもっともっと混乱というか、悩むことがあるんですけどね。

21ページに
「突然不思議なお話をされるのです。でも、ちゃんと意味があるの。あとになってそれがわかります」
というせりふが出てきますが、この本自体を、シリーズ全体を、いやいや、森ミステリィを象徴するせりふですね。

「はっきり申し上げれば、私は、端末にすぎません」
「入出力を受け持っているデバイスです」(176P)
なんていう登場人物も出てきますが、生命体というもののとらえ方を提示している作品なんだろうな、と思っています。
意識と身体の分離、というテーマは、森ミステリィのテーマの一つですが、その回答? でしょうか。
どなたにもおすすめできる、というものではありませんが、森ファンなら必読、ということで。


<2018.08追記>
2016年7月に文庫化されていました。遅まきながら、書影を。
赤目姫の潮解 LADY SCARLET EYES AND HER DELIQUESCENCE (講談社文庫)

赤目姫の潮解 LADY SCARLET EYES AND HER DELIQUESCENCE (講談社文庫)

  • 作者: 森 博嗣
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2016/07/15
  • メディア: 文庫




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コメント 2

Kun-KunBEAR

これは難解でもう一度読み返そうと思っています!
ふーんナルホド。で終われそうな気もしますが(^^;;
by Kun-KunBEAR (2014-01-28 13:18) 

31

Kun-KunBEAR さん、コメントありがとうございます。
森博嗣の作品は、難解でわけがわかんなくても、それで不満にならないのがすごいです。

今日、「キウイγは時計仕掛け」の感想(?)も書きましたので、またよろしくお願いします。
by 31 (2014-01-30 21:15) 

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