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賢者の贈り物 [日本の作家 石持浅海]


賢者の贈り物 (PHP文芸文庫)

賢者の贈り物 (PHP文芸文庫)

  • 作者: 石持 浅海
  • 出版社/メーカー: PHP研究所
  • 発売日: 2011/05/18
  • メディア: 文庫


<裏表紙あらすじ>
◎女の子たちと家でパーティー。翌朝、僕のサンダルが消え、女性物の靴が一足。誰かが、酔っ払って間違えたようだ。でも誰も申し出てこない。なぜ? (『ガラスの靴』)  ◎素性をなかなか明かしてくれない僕の彼女。なぜ? (『泡となって消える前に』) ◎フィルムカメラからデジタルカメラに替えた私。しかし妻からカメラのフイルムが贈られて……。なぜ? (『賢者の贈り物』)など。思考の迷路にいざなう10の物語。

石持浅海の短編集です。
「金の携帯、銀の携帯」
「ガラスの靴」
「最も大きな掌」
「可食性手紙」
「賢者の贈り物」
「玉手箱」
「泡となって消える前に」
「経文を書く」
「最後のひと目盛り」
「木に登る」
の10話収録。
いずれもそれなりに有名な童話や短編、説話などをモチーフに(?)しています。

第1話の「金の携帯、銀の携帯」を読んで、あまりに奇矯な論理展開にびっくり。いやあ、こんなこと考えないでしょう。石持浅海らしいといえば、石持浅海らしいのかもしれないけど。
そんなことを考えながら、第2話「ガラスの靴」を読んで、またびっくり。この作品も論理展開が変ではありますが、びっくりしたのはそこではなく、第1話で登場した人物と同じ名前「磯風」という人が出てきたからです。
同じ人なのかな? とも思いましたが、同じとも、違うとも、決め手がない。
すると第3話「最も大きな掌」にも、「磯風」という人物が。
全10話すべてに「磯風」さんは登場します。
うーん。そういう趣向ですか。
解説で、
「試しに『磯風さん』を同一人物だとみなし、パズルのようにそれぞれの短編の時間を時系列に並べ替えてみる。すると、彼女に関するあるエピソードが浮かび上がってくるのだ。それはちょっと悲しい出来事のようで、もっとも新しい時間軸となる話の中で一言で表されている。他の作品のその後にまで影響してくるので、ハッピーエンドが好きな方はあまり深読みされないほうがいいかもしれない」
なんて思わせぶりなことを羽住典子さんが書いていて気になりましたが、もう一つよくわかりませんでした。
でも、作品によって「磯風」さんの雰囲気がずいぶん違うんですよね。無理に同じ人と思わなくていいのかも。

結構恋愛ネタの作品が多いことも特徴です。

ちょっとひねくれた(と思ってしまいます)登場人物たちが、ひねくれた思考回路を存分に発揮して、勝手な思考の迷路をさまよう、そんな石持浅海らしい作品です。

タグ:石持浅海
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