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虚夢 [日本の作家 や行]


虚夢 (講談社文庫)

虚夢 (講談社文庫)

  • 作者: 薬丸 岳
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2011/05/13
  • メディア: 文庫


<裏表紙あらすじ>
通り魔事件によって娘の命は奪われた。だが犯人は「心神喪失」状態であったとされ、罪に問われることはなかった。心に大きな傷を負った男は妻とも別れてしまう。そして事件から4年、元嫁から突然、「あの男」を街で見たと告げられる。娘を殺めた男に近づこうとするが……。人の心の脆さと強さに踏み込んだ感動作。

この作品から、昨年12月に読んだ本となります。
「天使のナイフ」 (講談社文庫)で少年犯罪、「闇の底」 (講談社文庫)で少年への性犯罪を採り上げた薬丸岳の第3作。
今回のテーマは刑法第39条。
「心神喪失者の行為は、これを罰しない、心神耗弱者の行為は、その刑を軽減する。」
というものです。心神喪失者の犯罪をテーマにした作品です。
精神を病んだ犯人藤崎に娘を殺された三上とその元妻佐和子の物語と、統合失調症の弟を抱えるキャバクラ嬢ゆきと藤崎がめぐりあう物語が軸となります。
被害者の遺族や、障害者を抱える家族が追いつめられていく構図がとてもやりきれない。つらいでしょうね。
ミステリとしても展開がよく考えられています。
322ページから明かされる部分は、前例のあるアイデアで、割とおもいつきやすい内容だと思うのですが、この作品のような角度から使うのはちょっと意外でした。このアイデア、確かにこういう使い方をする方が冴えますね。

でも、これ、「感動作」と言ってよいのでしょうか?
そういう括りにしないほうがよい作品です。
読後、読者がいろいろと思いをめぐらすことに意義のある作品ではないかと思います。



タグ:薬丸岳
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