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封印された系譜 [海外の作家 か行]


封印された系譜(上) (講談社文庫)封印された系譜(下) (講談社文庫)封印された系譜(下) (講談社文庫)
  • 作者: ロバート・ゴダード
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2011/04/15
  • メディア: 文庫


<裏表紙あらすじ>
少年時代の親友にして、元妻の再婚相手。しかも病で死にかけているという親友の頼みで、古いアタッシェケースをロンドンからブリュッセルに届けることになったリチャード。デンマークの巨大企業一族がひた隠しにする出自の秘密とロシア皇女の生き残り伝説がからみあい、大きな陰謀に巻き込まれていく。 <上巻>
親友の遺志を継ぎ、アタッシェケースに隠された手紙の秘密を暴くべく、リチャードの追跡はスウェーデンからフィンランドへと舞台を移す。ロシア皇女は生きていたのか? 巨大企業一族とロマノフ王朝との関係は? 騙し騙されの息もつかせぬ心理ゲームは果てなく続く。ゴダードファン必読の絶品ミステリー! <下巻>


ロマネスクという単語がぴったりのミステリを連発しているロバート・ゴダード。この作品のテーマは、アナスタシア。ロマノフ王朝のラストを彩る謎ですね。
舞台は、ヨーロッパを転々としまして、章題が地名になっています。
ロンドン→ブリュッセル→ケルン→ハンブルク→オーフス(デンマーク)→コペンハーゲン→ストックホルム、→バルト海→ヘルシンキ(以下フィンランドの地名です)→パイエンネ湖→ユヴァスキュラ→カウズ
と展開します。
これからもおわかりのように、軽妙にストーリーは進みます。目まぐるしく、といってもいいくらい。
「リオノーラの肖像」 (文春文庫)「千尋の闇」 〈上〉 〈下〉 (創元推理文庫)といった初期作のような重厚、絢爛といった趣きはありませんが、こういうゴダードも好きです。ストーリー展開に現代の要素が強くなると、こういう感じになるのかもしれませんね。
とはいえ、イギリス版トラベル・ミステリなんて言っては叱られます。日本の型にはまったような薄っぺらいトラベル・ミステリとは違います。

中心となるストーリーに寄り添うようにして、登場人物たちのエピソードがつづられます。
「少年時代の親友にして、元妻の再婚相手」であるマーティのために力を尽くす主人公リチャード・ユーズデン。人が良すぎるなぁ、なんて思いますが、地味な外務省職員だった彼が50歳にもなって、事件に巻き込まれることで成長していく物語でもあり、そう捉えると、ちょっと拍子抜けなくらいのハッピーエンドもまたよし、といった風情です。
次の「隠し絵の囚人」 (上) (下) (講談社文庫)も楽しみですが、このところゴダード作品の紹介ペースが落ちてきているような気配もあり、末永く訳し続けてほしいです。


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