朝日のようにさわやかに [日本の作家 恩田陸]
<裏表紙あらすじ>
葬式帰りの中年男女四人が、居酒屋で何やら話し込んでいる。彼らは高校時代、文芸部のメンバーだった。同じ文芸部員が亡くなり、四人宛てに彼の小説原稿が遺されたからだ。しかしなぜ……(「楽園を追われて」)。ある共通イメージが連鎖して、意識の底に眠る謎めいた記憶を呼び覚ます奇妙な味わいの表題作など全14編。ジャンルを超越した色とりどりの物語世界を堪能できる秀逸な短編集。
あとがきによると「図書室の海」 (新潮文庫)(ブログへのリンクはこちら)から5年ぶりとなる短編集。
「図書室の海」 の感想の際に書いたように、「恩田陸という作家は、雰囲気というか、トーンというかを非常に重要視している作家だと勝手に思っています。」 なので、この種の短編集は恩田陸を楽しむアラカルトのような感じです。
特に巻頭の「水晶の夜、翡翠の朝」の雰囲気、イメージが個人的には好きです。
「麦の海に沈む果実」 (講談社文庫)、「黄昏の百合の骨」 (講談社文庫)のシリーズの番外編といえば、お読みなった方はわかると思います。
静けさの中に忍び込む悪意というか邪気というのは、こんなのを好きだというと変な奴だと思われるかもしれませんが、好みですね。
「赤い毬」も、正直なんだかよくわからない話なのですが、イメージに圧倒されます。
「淋しいお城」のようにエンディングの処理に既視感があってもよいのです。雰囲気に浸ることこそ、恩田陸の作品を読む快感なのですから。
だんだん、恩田陸の楽しみ方がわかってきたような気がします。
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