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股旅探偵 上州呪い村 [日本の作家 は行]


股旅探偵 上州呪い村 (講談社文庫)

股旅探偵 上州呪い村 (講談社文庫)

  • 作者: 幡 大介
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2014/02/14
  • メディア: 文庫


<裏表紙あらすじ>
渡世人三次郎の行くところに事件あり。中山道倉賀野宿で若者が、村の名主屋敷の三姉妹の死を予言し果てた。よじれたシダ、滝壷に吊るされた女、モウリョウと化す棺の骸……怪異に満ちた火嘗村を最大の悲劇が襲う! 三度笠の名探偵は、すべての謎を解き明かすのか!? 「時代+本格ミステリ」、驚嘆の一作!


「猫間地獄のわらべ歌」 (講談社文庫) (このブログの感想ページへのリンクはこちら) から約1年半ぶりの作品で同路線とあらば、読まずにはいられません。
文庫の帯に、
「三度笠の三次郎がゆくは謎だらけのモウリョウ村か。幡大介のミステリ時代劇場、上等な一作できました!」
とありまして、「ミステリ時代劇場」とはうまいことをいいますね。
冒頭からメタっぽさ満開で楽しいです。
「この時代に、いきなり密室などと口に出すのは……、ううむ、それはどうしたものかなぁ」
とか
「密室講義だってさ」
「フェル博士かよ」
「どうして探偵ってやつは、密室がテーマになると、やたらと分類や解説をしたがるのかねぇ?」
とかいうセリフににやり。このシリーズ(?) は、こうでなくちゃ。
「SFと言っとけば、なんでも許されると思っとるんだべか。与太話の代名詞としてSFを使うと、SF界の旦那方が黙っちゃいねぇだよ。あそこにゃあ、原稿を書く時間はなくても、論戦をする時間なら無限にある旦那衆が揃っとるだでな」(428ページ)
なんて、このセリフ自体に旦那衆は黙っちゃいないような気がして爆笑。いったい誰のことかな?
また、あらすじにも一部うかがわれますが、横溝正史の「獄門島」 (角川文庫)「犬神家の一族」 (角川文庫)「八つ墓村」 (角川文庫) あたりへのオマージュのような設定があちこちにあり、そこもポイントですね。
ミステリとしていろいろなアイデアが贅沢に盛り込まれていまして、そこが本当に素晴らしい。
ちなみに、あらすじにあるモウリョウというのは、火嘗村で、亡者が蘇り、村に仇をなす存在になったもの(148ページ)のことを指すようです。
メインの真相というか、真相のメインとなるアイデアは、日本作家の作品ではよくお目にかかるもので目新しさはありませんが、派手な事件にマッチしていていい感じです。
ラストでは
「まるでシリーズ化を望んでいるように聞こえますよ」
なんてセリフも出てきます。
シリーズ化、望んでいますので、ぜひ、幡さんまたミステリ書いてくださいね。




タグ:幡大介
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