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扼殺のロンド [日本の作家 か行]


扼殺のロンド (双葉文庫)

扼殺のロンド (双葉文庫)

  • 作者: 小島 正樹
  • 出版社/メーカー: 双葉社
  • 発売日: 2014/04/10
  • メディア: 文庫


<裏表紙あらすじ>
女は裂かれた腹から胃腸を抜き取られ、男は冒されるはずのない高山病で死んでいた。鍵のかかった工場内、かつ窓やドアの開かない事故車で見つかった二つの遺体。刑事たちの捜査は混迷を深める。その後も男女の親族は、一人、また一人と「密室」で不可解な死を遂げていく――。読み手を圧倒する謎の連打と、想像を絶するトリックに瞠目必至の長編ミステリー。


帯の惹句がふるってます。
「密室、密室、また密室――
 これぞ『やりすぎミステリー』の極み!」
「十三回忌」 (双葉文庫)(感想のページへのリンクはこちら)に続いて読んだ小島正樹の作品ですが、「やりすぎミステリー」の極み、と来ましたか。
過剰さが魅力と「十三回忌」 は読んだのですが、この「扼殺のロンド」 も期待にたがわず、過剰です。
なにしろ、章題が順に
二重の密室
亡霊の密室
硝子の密室
暗黒の密室
という並びで、期待度大ですね。もうこれだけでもおなかたっぷり?
(あっ、でも、密室事件は3つです)

冒頭の二重の密室は、あらすじにも書かれていますが、謎のてんこもり。
「女は裂かれた腹から胃腸を抜き取られ、男は冒されるはずのない高山病で死んでいた。鍵のかかった工場内、かつ窓やドアの開かない事故車で見つかった二つの遺体」というんですから。

密室トリックに寄りかかっていない、というか、もう何に寄りかかっているのか分からないくらい、わんさかアイデアが詰め込まれているので、作品の疵とはいいがたいかもしれませんが、やはり密室トリックは喰い足りないものでした。
特にアトリエの密室。このトリック(?) はないんじゃないだろうか、と。現実的にはあり得ることなのかもしれませんが、ミステリでこれをやられるとがっかり。解明の手がかり(?) となる日記の記載ぶりは、微笑ましく、小ネタとしてぴりりと効いている感じがするだけに残念。奢侈って単語、久しぶりに見ました。江戸時代の倹約令の説明で見て以来?
冒頭の高山病の死体も、うーん、どうでしょうか、これで高山病と診断(?) されますでしょうか? 内臓を抜き取った理由も、ミステリ的にはOKな真相が用意されていますが、でも、もっと簡単な方法を犯人は採用するんじゃないかと思わないでもない。

とまあ、「十三回忌」 に続いて、あれこれと突っ込んでしまいますが、それもまた本作品の魅力ではなかろうかと考える次第です。
それくらい、この詰め込みぶりは味があるというか、また味わってみたいと切に願ってしまいます。癖になる。
次の文庫化が待ち遠しいです。
特に、講談社さん、早く「武家屋敷の殺人」 (講談社ノベルス)を文庫化してください。



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逆襲のXPERIA

おはようございます。
訪問&nice有難うございます。
by 逆襲のXPERIA (2015-04-24 07:06) 

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