ジキルとハイド [海外の作家 さ行]
<裏表紙あらすじ>
ロンドンの高名な紳士、ジキル博士の家にある時からハイドという男が出入りしていた。彼は肌の青白い小男で不愉快な笑みをたたえ、人にかつてない嫌悪、さらには恐怖を抱かせるうえ、ついに殺人事件まで起こしてしまう。しかし、実はジキルが薬物によって邪悪なハイドへと姿を変えていたのだった……。人間の心に潜む善と悪の葛藤を描き、二重人格の代名詞としても名高い怪奇小説。
新潮文庫が Star Classics 名作新訳コレクションと銘打って展開(?) しているうちの一冊です。
少し前に(調べたら2009年でした)光文社古典新訳文庫から、「ジーキル博士とハイド氏」というタイトルで出ていましたが、そのときは見送り。
今回は田口俊樹さん訳ということで、読んでみようと思いました。
実は、「ジキルとハイド」は、子供向けの翻訳を読んだきりで、ちゃんと読んだことがなかったのです。
そうしたら、訳者あとがきで、田口さんご自身が、
「本書の翻訳にかかるまで、原著はおろか翻訳書も、もっと白状すると、児童書も読んだ記憶がない」
と書かれていて、なんだかうれしくなっていまいました。
それにしても、こんなに薄い本だったんですねぇ。
お話の中身は、言わずと知れた二重人格ですが、薬物が取り扱われていたとは、今更ながら思いがけなかったです。
ラストも、こういうエンディングだったんですね。
あとがきでも指摘されていますが、怪奇小説でもあり、道徳的、宗教的なテーマを持つ作品であり、ファンタジーであり、煽情小説であり、ゴシック小説であり、ミステリーであり、悲劇である、というようにさまざまに読めます。
薄いだけになお一層、それぞれの要素をじっくりあれこれ想像しながら読む楽しみもあります。
「フランケンシュタイン」 (新潮文庫)も読んでみようかな。
原題:The Strange Case of Dr. Jekyll and Mr. Hyde
作者:Robert Louis Stevenson
刊行:1886年
翻訳:田口俊樹
コメント 0