秘密 トップ・シークレット (6) [コミック 清水玲子]
<帯>
犯罪被害者の脳を取り出し、生前の映像記憶を再現する技術を駆使し、難解な事件の真相に迫る科学警察研究所・法医第九研究室。今回は、薪室長を中心に再結成したばかりの第九へ異動した警視庁捜査一課のエリート・岡部の視点で、不可解な連続殺傷事件を追う…!?
2009年3月に出たコミックです。
死者の脳を分析して、死者が生前に見ていたものをMRIスキャナーで再生できるようになっている、という物語の前提がSF的な設定のシリーズです。
第6巻には「秘密 トップ・シークレット 2008 A PIECE OF ILLUSION 」と「秘密 トップ・シークレット 2008 特別編 Copy Cat」を収録。
第九を壊滅状態に追いやった「貝沼」事件のあと、第九に岡部警部が異動してくるところから始まります。
不祥事を起こした第九、薪のお目付け役。
「薪警視正の状態を監視して逐一私(総監)に報告を」
反発していたけれど、徐々に薪を認めていくんですね。やっぱ岡部いいやつじゃん、というところ。
商店街で4人を惨殺したのち、首つり自殺した犯人郁子。郁子は、自宅で認知症の父親の介護をしていた。
脳の中で自らが生み出した「虚構」の世界に浸って、逃避していた犯人。「虚言癖」「ユメみるユメ子ちゃん」と周りに揶揄されても、自分の世界の中では幸せ。いやあ、これはつらいですよ、きっと。
郁子が思い描く幸せな自画像、まるでスーパーモデルであるのに対し、父親が描く郁子像が、美しいことは美しいものの、郁子の現実の姿を反映したものになっているところに、構想の確かさと怖さがあります。
特別編の方は、青木が主役です。
これ、怖いエピソードですねぇ。この第九が秘める怖さを象徴的に表したもの、とも言えますが。
せっかく、薪に誉められたのに。「ハレー彗星の接近なみに珍しい事態」+「薪さんの笑顔付き」のスペシャルだったのに。
青木くん、ぜひとも、幸せになってね!
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