C.M.B.森羅博物館の事件目録(17) [コミック 加藤元浩]
C.M.B.森羅博物館の事件目録(17) (講談社コミックス月刊マガジン)
- 作者: 加藤 元浩
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2011/06/17
- メディア: コミック
この第17巻は、
「プリニウスの博物誌」
「隠れ里」
「モザイク」
「幻の車」
の4話収録です。
「プリニウスの博物誌」は、活版印刷の「プリニウスの博物誌」をかたに東側から西側へベルリンの壁を超えようとしてうまくいかなかった家族の物語です。
映画「ブリッジ・オブ・スパイ」(ブログの感想へのリンクはこちら)を観た直後に読んだので、なかなか(個人的には)タイムリーでしたね。
ミステリを読み慣れている人なら、いやいや、このQ.E.D.シリーズを読み慣れている人なら、真相は見抜けてしまうと思いますが、
「今の話はぜんぶウソだ」
というセリフを軸にうまく作ってあるなぁと感心。なるほどねー。
そして、真相に至る道筋も自然です。
当時の新聞記事を利用して、一種の叙述トリックみたいなの(実際は、叙述トリックと言ってしまうと、言い過ぎですけどね)まで仕掛けてあって大満足の一作。
「隠れ里」は、七草がゆの七草を自分で摘んだらおいしいのでは? と思いつき、田舎へ出向いたら遭遇した怪を扱っています。
いや、おもしろいんですけどね、仕掛けは。
でも、これはないなぁ。いくらなんでも。だって、こんな家や道を作る理由がない。
この作品のために、わざわざそんな家、建てないでしょう....
「モザイク」は、設計事務所のひとたちをめぐる、いかにもミステリらしい作品なんですが、逆にミステリらしすぎて、底が浅くみえみえだし、ラストもなぁ。
ラストで森羅が見栄を切るセリフも、決め手になるようなもんじゃなく、誰でも気づいてるでしょう。警察だって...
この17巻、全体を通して、ヒヒ丸が出てこないんですが(「隠れ里」に出てきてもいいのに!!)、この「モザイク」の口絵で描かれているモザイクがヒヒ丸です!!
「幻の車」は、1931年に渋沢栄一などから資金協力を得て開発された1台しか現存していない幻の車「つくば号」が出てきます。(2台目があるという設定ですが)
真相は定番中の定番みたいな着地だし、推理は無理だし、というものですが、「つくば号」がもう一度走る、というロマンに奉仕するわけなので、この真相でいいんだ、と思えます。
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