SSブログ

Mr. ホームズ [映画]

Mr.ホームズT0020685p.jpg

いつものシネマ・トゥデイから引用しておきます。

チェック:ミッチ・カリンの小説「ミスター・ホームズ 名探偵最後の事件」を実写化したミステリー。93歳になって静かに余生を送っていた名探偵シャーロック・ホームズが、30年前の未解決事件の真相を暴こうとする。監督は、『トワイライト・サーガ』シリーズなどのビル・コンドン。『X-MEN』『ホビット』シリーズなどのイアン・マッケラン、『マイ・ライフ、マイ・ファミリー』などのローラ・リニー、ハリウッドでの活躍も著しい真田広之らが結集する。助手の10歳の少年と一緒に難事件に挑んでいくホームズの姿が、何とも痛快。

ストーリー:名探偵ホームズ(イアン・マッケラン)も93歳の老人となり、海辺の家で静かな日々を過ごしていた。しかし、その一方で30年前のとある事件が頭に引っ掛かっていた。それは死んだ子供たちと会話しているという女性の調査だったが、いつしか彼女による夫の殺害計画の疑惑が浮上した果てに、ホームズの失態で未解決となって自身も探偵引退を余儀なくされたのだった。ある時、日本への旅行で事件解決のヒントを得たホームズは、10歳になる家政婦の息子ロジャー(マイロ・パーカー)を助手に事件を再捜査していく。


老後のホームズを扱った映画ということで、ミステリファンとしては見逃せない?
原作「ミスター・ホームズ 名探偵最後の事件」 (KADOKAWA)は読んでいません。

結構、(日本の)ミステリファンの興味を引く中身なんですよね。
ホームズの引退のきっかけとなった未解決事件。
原爆投下後のヒロシマに赴くホームズ。
そして引退したあとの暮らしぶり。
ホームズは引退後養蜂に乗り出していたというのは知られた事実(?) ですが、のどかな田舎町(海岸の映像からイングランド南東部と思われます)でのゆったりとした暮らし。
未解決事件の真相をつきとめようとする、老齢のホームズと助手(?) 家政婦の息子ロジャー。
上で引用したチェックにも、「30年前の未解決事件の真相を暴こうとする」「助手の10歳の少年と一緒に難事件に挑んでいくホームズの姿が、何とも痛快」とあって、面白そうでしょう?

でも、実際に映画を観てみると、ずいぶん印象が違います。

そもそもホームズが、記憶力が大きく減退し、まさに耄碌した姿。こういうホームズ、あまり観たくない。
で、「未解決事件の真相を暴こうとする」わけじゃないんです。
単に、忘れているのを思い出すだけ。
だから、「助手の10歳の少年と一緒に難事件に挑んでいくホームズの姿が、何とも痛快」ってことはありません。むしろ、痛々しい。

いくらボケていても、引退のきっかけとなったような事件を忘れている、なんて不自然ではないでしょうか?
風光明媚な田舎に引っ込んでしまえば、「忘れてしまおう」ではなく、むしろそのことばかり考えるようになるのではないでしょうか?
そんな状況で、この作品のようにすっかり忘れている、というのはいただけない。
そしてそれを思い出すのも、ただただ思い出すのです。思い出すヒントとなるような手がかり(品物)は折々に出てきますが、仕掛けとか意味づけがちゃんとあるようにも思えない。

そしてその事件の内容も、正直もう一つ。
当時のホームズの捜査(?)も、尾行するだけで、ちっとも推理なんかしちゃいない。
ホームズがそもそも得意としていない(というか、眼中にない)心の謎を扱っている、というのがポイントなんでしょうが、ホームズを扱うにはちょっとずるい切り口ですよね。
「ホームズも(普通の、血の通った)人間だった」というのは、この種の作品を作る上での一つの王道だとは思いますが、こうもストレートすぎるとちょっと安直では?
いままで扱った事件、人物とは違った、とホームズが述懐するのですが、そしてそれはそうかもな、と思わないでもないですが、であればなお一層、忘れてしまっているのが解せません。

真田広之が出てくる日本のパートもすっきりしない上に、本筋との絡みがはっきりしない。
(そもそも日本に行くのも、山椒を採りに行くため。それもローヤルゼリーよりボケに効くだろうから、って、切なすぎませんか!?)

ホームズを扱うなら、もっともっと事件に気を使って欲しかったなぁ、と思いますが、ただ、ホームズだ、ということを忘れて観れば、味わい深い作品に仕上がっていると思います。
ホームズと家政婦と家政婦の息子ロジャーとの、田舎での暮らし。ホームズとロジャーの交流が一つの焦点です。
ラストの蜂のエピソードはちょっと作り過ぎ感ありますし、家政婦&ロジャーとホームズの関係性も、結局のところ金で釣ったみたいな処理だし、エンディングのシーンも今一つ好きになれませんが、名探偵の老境というのはなかなかに印象深いテーマで、イアン・マッケランが(ボケはじめた役なのに)かっこいいから。


<蛇足>
家政婦役のローラ・リニーは、ジム・キャリーの「トゥルーマン・ショー」が印象に残っています。
備忘のために、メモしておきます。


原題:MR.HOLMES
製作年:2015年
製作国:イギリス/アメリカ




nice!(6)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:

nice! 6

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0