鼠、滝に打たれる [日本の作家 赤川次郎]
<裏表紙あらすじ>
天下の大泥棒、鼠小僧次郎吉。
その華麗なる活躍をご覧あれ。
壱、賭場で見かけた勝気な女。一人勝ちする女の驚きの正体。「鼠、裏を返す」
弐、女医の千草に縁談が。お相手は大名の息子だというけれど。「鼠、高砂やを謡う」
参、そば屋で出会ったわけあり男女。まさかあんな事件を予防とは。「鼠、滝に打たれる」
肆、将棋盤の前で愚痴ばかりのやせ浪人。それが招いた死の危険。「鼠、恨み節を聴く」
伍、遊郭で、女と男が殺人計画? 妹・小袖と潜入調査。「鼠、密談に探る」
陸、道場に現れた若侍。御前試合に向け、小袖に弟子志願!? 「鼠、太鼓を打つ」
シリーズ第8弾です。前々作「鼠、危地に立つ」 (角川文庫)、前作「鼠、狸囃子に踊る」 (角川文庫)はいきなり文庫でしたが、この「鼠、滝に打たれる」 は単行本です。
ちなみに、2014年12月に単行本が出て、2016年3月には文庫化されています。
この第8巻には上で引用したあらすじ(?) にもあるように六話収録です。
「鼠、危地に立つ」 や「鼠、狸囃子に踊る」では、本があまりに薄いことを指摘しましたが、収録話数が増えたのでこの点は若干なりとも緩和されたでしょうか?
とはいえ、1ページ当たりの行数は17行と、開いてみれば、すっかすか...
会話主体で、改行に次ぐ改行ではありますが、ストーリーの輪郭はくっきりと伝わってきます。
スラスラ読めてしまうので、あまり感じませんが、かなり複雑なプロットが忍んでいたりします。
現在では当たり前に受け止められていることを、ぽんと江戸時代に抛り込んでみるという実験的なこともやってのけたりもします。
シリーズとしてのポイントはやはり、第二話「鼠、高砂やを謡う」で扱われている、千草先生の縁談でしょう。
でも次郎吉は、気にはなるけど、態度にそれほど変化はあらわれない。
千草先生と次郎吉の仲も、進展するでもなく、しないでもなく。
このあたりの呼吸が、じれったくもあり、心地よくもあり、というシリーズですね。
次の「鼠、地獄を巡る」 (KADOKAWA)が2016年3月に出ています。
相変わらずのハイペースです。
文庫版の書影も最後に掲げておきます。
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