バジャーズ・エンドの奇妙な死体 [海外の作家 か行]
<裏表紙あらすじ>
ここはペニーフット・ホテル。田舎町バジャーズ・エンドにひっそりと建つ、紳士淑女御用達の隠れ家だ。ところがその静かな町で不審死が続発。ただでさえホテルにとって痛手なのに、そのうえ関係者がふたりも疑われているとあっては放っておけない。ホテルの女主人セシリーは、堅物の支配人バクスターの心配をよそに調査をはじめる。古き良き英国の香り漂う人気シリーズ第二弾。
舞台が1906年のイギリス南西部バジャーズ・エンドにあるペニーフット・ホテルのシリーズ第2弾です。
あらすじを読んでびっくり、第1作「ペニーフット・ホテル受難の日」 (創元推理文庫)(感想ページはこちら)を読んだときは意識していなかったのですが、このホテル、「紳士淑女御用達の隠れ家」ってことは、そういう用途のホテルだった!?
でも、この「バジャーズ・エンドの奇妙な死体」 (創元推理文庫)を読んでもそんな印象は受けませんでした。
「それによってさらにホテルの格が上がるわ。」(230ページ)
というセシリーのセリフも、そういう用途のホテルではないことを裏付けているように思います。
こちらの勝手な思い込みだったのでしょう。ちょっとあらすじの書き方、ミスリーディングですけどね...
時代(背景)のせいで、そう思えなかっただけ??? 後続巻では気を付けて読むことにします。
今回もセシリーがどたばたと謎を解いていきます。
バクスターが嫌々ながら、巻き込まれていってしまう段取りも、セシリーの危機一髪を、バクスターが救うという段取りも、予定通り(笑)。
登場人物のにぎやかなことも、第1作と同じく健在。
謎の宿泊客ミセス・パルマンティエとか、メイド、ガーティの妊娠騒ぎとか、わさわさと楽しいですね。
(しかし、ガーティの言葉遣い、ちょっとひどいというか、ホテルの雰囲気に合わないですね。)
事件の方は、他愛ないといえば他愛ないし(日本題の「奇妙な死体」のゆえんである殺害方法の古典的なことにはびっくりできますよ、いまさら感があって)、(ミステリーでは)ありふれた動機ではありますが、おもしろい使い方をしているなぁ、と思いました。怒る人もいるでしょうけれどねぇ。ミッシリング・リンクの解としては、反則ですもんねぇ。
と、作品としてよかったのか、悪かったのか、今一つ難しいところですが、楽しんで読むことは読みました。
シリーズ続刊も、読んでいきます。
原題:Do not Disturb
著者:Kate Kingsbury
刊行:1994年
訳者:務台夏子
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