C.M.B.森羅博物館の事件目録(26) [コミック 加藤元浩]
C.M.B.森羅博物館の事件目録(26) (講談社コミックス月刊マガジン)
- 作者: 加藤 元浩
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2014/06/17
- メディア: コミック
<帯裏表紙側あらすじ>
ライオンに襲われた戦士の死に、不審を抱くマサイの族長。勇敢だったオディンガが、なぜ槍も構えず襲われていたのか? 唯一の目撃者・ハガ少年は、トラウマから供述ができない。数年前、同じく父親をライオンに殺されていたのだ。相談を受けた森羅は、動物学者・クック博士とともに、呪医・ガンビットの元へと旅立つ。ガンビットは「辛い過去から悲しみだけを消す薬」を持っているというのだが――!?
この第26巻は、
「ゴンドラ」
「ライオンランド」
「兆し」
の3話収録です。
「ゴンドラ」は、雪山の別荘近くのスキー場のゴンドラでの殺人事件を描く、倒叙スタイルの物語です。
倒叙スタイルのお手本みたいによくできた作品だと思いました。
なくなってしまった指輪の行方をめぐるエピソードも秀逸。
犯罪発覚だけではなく、犯罪のベースそのものが崩れ去る設定がすばらしいですね。
「ライオンランド」は、ケニアを舞台にした作品、です。
父親をライオンに殺された少年・ハガをキーに、周到に設計図が引かれた作品だと思いました。(ただし、ライオンはそうそう都合よく行動してくれたりしないとは思うので、そこはひっかかりますが)
与えてもらった喜びとそれを失う悲しさはまったく同じものだから、悲しみを消してくれるということは喜びもなくしてしまうのだ、というくだりは説得力がありますね。
ただ、どことはっきり言えないのですが、すっきりしないところがあって、よくできた作品だと言い切れない、今でも複雑な印象です。
「兆し」は、トウガラシのお守りを森羅博物館から買い戻したがっている香港経済界の大物の話で、主として文化大革命時代の混乱を描いています。大物は当時、自分の両親を罰する側に回ってしまった過去があります。
トウガラシのお守りは、悪いことが起こる前にその凶兆を知らせてくれると信じられたガラス製のお守り、ということですが、このお守りに効果があったかどうか、さっと反転するところがすばらしい。
コメント 0