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ニャン氏の事件簿 [日本の作家 ま行]


ニャン氏の事件簿 (創元推理文庫)

ニャン氏の事件簿 (創元推理文庫)

  • 作者: 松尾 由美
  • 出版社/メーカー: 東京創元社
  • 発売日: 2017/02/19
  • メディア: 文庫

<カバー裏あらすじ>
アルバイトをしながら、自分を見つめ直している佐多くんは、あるお屋敷で、突然やってきた一匹の猫とその秘書だという男に出会う。実業家のA・ニャンと紹介されたその猫が、過去に屋敷で起こった変死事件を解き明かす?! って、ニャーニャー鳴くのを通訳しているようだが本当? 次々と不思議な出来事とニャン氏に出くわす青年の姿を描いた連作ミステリ。文庫オリジナルだニャ。


松尾由美の作品を読むのはずいぶん久しぶりになります。
2015年に読んだ「雨の日のきみに恋をして」 (双葉文庫)(実際に手に取ったのは、改題前の「雨恋」 (新潮文庫)でした。感想ページはこちら)以来ほぼ6年ぶり。
松尾由美といえば、ぶっ飛んだ設定の物語が多い作家さんです。
今回の設定は、猫が探偵。
猫が探偵というと、言わずと知れた赤川次郎の三毛猫ホームズが代表作かと思いますが、海外にも相応に作例はありますし、ミステリではわりとお馴染みの設定ですね。

これがなかなかの大人物、いや大猫物でして、なんと実業家。
フルネームがアロイシャス・ニャン。余暇には「ミーミ・ニャン吉」のペンネームで童話を執筆。
どんな猫だ!?

「ニャン氏登場」
「猫目の猫目院家」
「山荘の魔術師」
「ネコと和解せよ」
「海からの贈り物」
「真鱈の日」
の6編収録。

創元推理文庫は、日本のものでも英文タイトルがついていまして、本書は
The Mysterious Mr Nyan
これ、あからさまに、
The Mysterious Mr Quin(クリスティ「ハーリー・クィンの事件簿」 (創元推理文庫)
ですよね(笑)。
「ハーリー・クィンの事件簿」の第一話は「ミスター・クィン、登場」。確か旧訳では「クィン氏登場」だったはず。「ニャン氏登場」と平仄合ってる。

この短編集には狂言回しとして、佐多くんが各話に登場しますが、とすると、佐多くんは、サタスウェイトから取ったのかな? 佐多俊英(さたとしひで)。音読みするとサタシュンエイで、近いと言えば近いかな(笑)。

「猫目の猫目院家」や「真鱈の日」は明らかにもじりですしね。

といっても各作品はパロディになっているわけではありません。
軽く読めるようになっていますが、要所要所に、ミステリ的に気の利いた部分が忍ばせてあるのも好印象です。

「ニャン氏登場」で花瓶が凶器である理由とか、「猫目の猫目院家」でパソコンが消えた理由とか、「山荘の魔術師」で印象的に交わされる「人形はなぜ殺される」というセリフ!とか、「ネコと和解せよ」で一対の掛け軸の片方だけがなくなった理由とか、「海からの贈り物」の葉書のエピソードとか(しかし、この思いつき、よく作品に仕立てましたね笑)、「真鱈の日」のスーツケースの扱いとか。
こういうのが各話しっかり盛り込まれているので、読みごたえを感じます。

シリーズは、
「ニャン氏の童心」 (創元推理文庫)
「ニャン氏の憂鬱」 (創元推理文庫)
と続いているので、楽しみです。


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