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謀略軌道 新幹線最終指令 [日本の作家 か行]


謀略軌道 新幹線最終指令 (角川文庫)

謀略軌道 新幹線最終指令 (角川文庫)

  • 作者: 北上 秋彦
  • 出版社/メーカー: KADOKAWA
  • 発売日: 2018/09/22
  • メディア: 文庫

<カバー裏あらすじ>
盛岡始発「やまびこ」4号に爆弾を仕掛けたという脅迫電話が、JR東日本新幹線運行本部に入った。爆弾は時速100km以下になると作動するという。指令長は時間を稼ぐために、JR東海に協力を求め、鉄道史上例のない計画を提案する。一方、走り続ける同車両が何者かに走行妨害を受ける。車内には重病人の男が現れて――。爆破予告の裏で交錯する複数の思惑に事件は困難を極めていく! 疾走するクライシス・サスペンス!!


この「謀略軌道 新幹線最終指令」 (角川文庫)は2018年の角川文庫の新刊で出た作品です。
単行本は1998年12月に刊行されたようですので、実に20年ぶりの文庫化ですか......
著者の北上秋彦は長編デビュー作である「種の終焉(おわり)」 (祥伝社文庫)とその姉妹作?である「種の復活」 (祥伝社文庫)を読んでいます。
この両作は力任せの謀略小説で、そういうのが好きな身として、楽しく読んだ記憶があります。
「謀略軌道 新幹線最終指令」は著者の長編第4作のようで、著者名が懐かしかったこと、あらすじがおもしろそうだったこと、から購入しました。

いやあ、相変わらず力技、力任せで、荒い作品で、楽しめました。
巻末の参考文献のところで、著者自ら東映映画「新幹線大爆破」、東宝映画「動脈列島」(原作清水一行)を参考にした、と書いていますが、まさにそれらを彷彿させる内容で、こういう作品はこのノリでいいんですよね。

新幹線を舞台にしたテロ、というだけに飽き足らず、その新幹線に生物兵器まで持ち込んでしまうという大胆さ。盛り込みすぎでちょっと消化不良になったところもありますが、いやいや、暴走新幹線ならでは、というか、勢いで乗り切ろうとしている作品です。

あらすじにある「JR東海に協力を求め、鉄道史上例のない計画」というのがポイントとなる作品かと思うのですが、この計画、大方の読者が予想しちゃうんじゃないかと思うんですよね。
解説で交通ジャーナリストの方が
「この小説が書かれてから二十年後の今、同様の事件が発生したら同じように対処できるか考えてみた。結論は、残念ながらできないということになる。」
と書かれているので、非現実的なアイデアなのでしょうが、それこそ技術的な制約がわからない素人的には思いつきやすい。
そして、それは非常に夢のある計画です。
ひょっとしたら、この計画を紙上で実現するために、この作品は書かれたのではないかと、思ってしまいました。
そして、それが(紙上で)実現するのが読めて、とてもよかったと思います。
JR各社の社員の熱い思いも、伝わってきました。こういうのに、最近、弱いんですよね。

非常に荒い作品なので、突っ込みどころ満載ですし、ミステリとしてみた場合には、あまりにも犯人が分かりやすいとか、裏の陰謀があからさますぎるとか、米軍はこんなに甘くないだろうとか、難点が多すぎるのですが、それでも、夢に出会えてよかったな、と思える作品でした。









タグ:北上秋彦
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