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リケジョ探偵の謎解きラボ [日本の作家 喜多喜久]


リケジョ探偵の謎解きラボ (宝島社文庫 『このミス』大賞シリーズ)

リケジョ探偵の謎解きラボ (宝島社文庫 『このミス』大賞シリーズ)

  • 作者: 喜多 喜久
  • 出版社/メーカー: 宝島社
  • 発売日: 2017/05/09
  • メディア: 文庫

<カバー裏あらすじ>
保険調査員の仕事は、保険会社から支払われる保険金に関して、被保険者側に問題がないか調査・報告すること。しかし、江崎に回ってくるのは、大学教授の密室での突然死をはじめとした不審死ばかり。その死は果たして自殺か事故か、殺人か――。そんなとき、江崎は意中の研究者・友永久理子に相談を持ちかける。恋人より研究優先の熱血“理系女子”探偵が、化学を駆使し不審死の謎に迫る!


2021年8月に読んだ15冊目の本です。
喜多喜久って多作家ですよね。
お気に入りの作家なので基本的には全部読みたいなと思っているのですが、この「リケジョ探偵の謎解きラボ」 (宝島社文庫)はタイトルを見てちょっと臆してしまいました。
「リケジョ探偵」
作者なのか出版社なのかわかりませんが、狙ったようなタイトルで、なんかいかにもな感じがして......

帯に上野樹里の推薦コメントがついていまして
「研究一番、彼氏は二番?
 久理子のリケジョっぷりは潔くて素敵?
 ドラマ以外の物語も読めて嬉しい!
 難解な事件も、二人の恋の行方も、
 最後まで誠彦と頭を抱えながら是非楽しんでほしい!(笑)」
非常に要領よくまとめられています。

連作短編集で4話収録で、それにつれて二人の仲が深まって?いきます。
「Research01・小さな殺し屋」
内側から鍵のかかった部屋で心臓麻痺で死んだ大学教授。
おもしろいのは、犯行の場面はないのですが、犯人と思しき妻が死体を”発見”するシーンから始まることです。
犯人もリケジョでして、リケジョ対決というところでしょうか。
「Research02・亡霊に殺された女」
飛び降り自殺をしたと思われる妻の死は自殺ではないと信じる夫の依頼を受けて死の原因を調べます。
怪しげな占い師を絡めるところがポイントなんですが、平凡な印象です。
「Research03・海に棲む孔雀」
和歌山で起きた溺死事件は保険金目当てだという密告電話があって、調査に出かける誠彦。
泊りがけの調査になるので、公私混同して久理子を誘おうとするのが笑えます(といっても、気の弱い?誠彦の独自案ではなく、所長にそそのかされて、なのですが)。
ある意味典型的な話の進み方をするのですが、警察官が介入しているのがポイントですね。
事件の方は、賛否両論というか、議論を呼びそうな決着をみますが、誠彦と久理子の仲の進展の方が重要なのかもしれません。
しかし、下僕(笑)。
「Research04・家族の形」
久理子に留学話が持ち上がって気が気じゃない誠彦が取り組むのが交通事故。
介護の必要な老人が出てきた段階である程度真相は透けて見えてしまうのですが(手がかりも露骨ですし)、誠彦はこれまた微妙な決着に持っていきます。
まあ、警察じゃないから、ということなのでしょうが、第3話、第4話とこういうのが続くと、ちょっと全体のテイストがちぐはぐな印象を受けてしまいます。

続編「リケジョ探偵の謎解きラボ 彼女の推理と決断」 (宝島社文庫)が出ているので、二人の恋の行方?が気になります。


<蛇足>
「今日は、草刈り直後の地面にポン酢を振りかけたような臭いがしていた。」(187ページ)
実験室のある建物に入った時の描写なんですが、どんな匂いなんだろ?


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