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珈琲店タレーランの事件簿 5 この鴛鴦茶がおいしくなりますように [日本の作家 岡崎琢磨]



<カバー裏あらすじ>
アオヤマが理想のコーヒーを探し求めるきっかけとなった女性・眞子。11年ぶりに偶然の再会を果たした初恋の彼女は、なにか悩みを抱えているようだった。後ろめたさを覚えながらも、アオヤマは眞子とともに珈琲店《タレーラン》を訪れ、女性バリスタ・切間美星に引き合わせるが……。眞子に隠された秘密を解く鍵は――源氏物語。王朝物語ゆかりの地を舞台に、美星の推理が冴えわたる!


2021年9月に読んだ6冊目の本です。

「珈琲店タレーランの事件簿 また会えたなら、あなたの淹れた珈琲を」 (宝島社文庫)(感想ページはこちら
「珈琲店タレーランの事件簿 2 彼女はカフェオレの夢を見る」 (宝島社文庫)(感想ページはこちら
「珈琲店タレーランの事件簿 3 ~心を乱すブレンドは」 (宝島社文庫)(感想ページはこちら
「珈琲店タレーランの事件簿 4 ブレイクは五種類のフレーバーで」 (宝島社文庫)(感想ページはこちら
に続くタレーラン5冊目。

タイトルになっている鴛鴦茶(えんおうちゃ)とは「コーヒーと紅茶を混ぜ、無糖練乳と砂糖を加えて作る香港のお茶」らしいです。帯から引用しました。
うーん、これだけだと、あまりおいしそうじゃない......

章という構成なので長編の体裁ですが、ゆるやかにつながって長編をなす連作短編集という感じでしょうか。

冒頭
「良いコーヒーとは、悪魔のように黒く、地獄のように熱く、天使のように純粋で、そして恋のように甘い」(12ページ)
という、タレーランの残した格言?が出てきます。
言ったのは、アオヤマの初恋の相手眞子、言われたのは中学生のアオヤマ。
この初恋の相手と再会し、まつわる謎を解いていきます。
こういう存在を美星に会わせるという流れになるのですが、なかなか難しいシチュエーションですね。

美星の謎解きの切れ味はいつも通り鋭いわけですが、美星はどちらかといえば「勘ぐる」ことで謎を解くタイプだと思っているので、恋敵?をめぐる謎はうってつけなのかもしれませんね。
ただ、このシチュエーションだからか、最後は落ち着くところに落ち着くのに、どことなく歯切れが悪いというか。
眞子の行く末と、アオヤマと美星の仲が進展したように思えることとの対比が気になってしまったからかもしれません。

シリーズは快調に続いていて、今年第7弾が出たんですよね。
当然買ってあります。読みます!


<蛇足1>
出町柳駅の説明で
「地下は京阪電鉄の、地上は叡山電鉄のそれぞれターミナルにあたる交通の要所だが」(55ページ)
とあります。
なるほどねー。確かにターミナル駅ではありますね。
ただ、個人的イメージとして交通の要所といった感じはまったくしないのですが......

<蛇足2>
「京都御苑の近くに蘆山寺というお寺があって、そこは紫式部の邸宅址なのよ。」(58ページ)
ここを読んで京都御苑かぁ、と思いました。あまりあの場所を京都御苑と呼んだことはないなぁ、という感慨。あの一帯は「御所」と呼んでいました。

<蛇足3>
「ひと月くらいかけて、世界中を回ったな。各国の評判のいいコーヒーショップを探して、二人で足を運ぶんだ。」(129ページ)
婚前旅行と称した旅の説明ですが、贅沢な旅ですね。うらやましい。
でも、こういう感じの旅作りだと、ひと月では到底世界など回れないと思いますね......



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