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珈琲店タレーランの事件簿 2 彼女はカフェオレの夢を見る [日本の作家 岡崎琢磨]


珈琲店タレーランの事件簿 2 彼女はカフェオレの夢を見る (宝島社文庫)

珈琲店タレーランの事件簿 2 彼女はカフェオレの夢を見る (宝島社文庫)

  • 作者: 岡崎 琢磨
  • 出版社/メーカー: 宝島社
  • 発売日: 2013/04/25
  • メディア: 文庫


<裏表紙あらすじ>
京都の街にひっそりと佇む珈琲店〈タレーラン〉に、頭脳明晰な女性バリスタ・切間美星の妹、美空が夏季休暇を利用してやってきた。外見も性格も正反対の美星と美空は、常連客のアオヤマとともに、タレーランに持ち込まれる“日常の謎”を解決していく。人に会いに来たと言っていた美空だったが、様子がおかしい、と美星が言い出して……。姉妹の幼い頃の秘密が、大事件を引き起こす!


喫茶店タレーランシリーズ第2弾です。
第1作「珈琲店タレーランの事件簿  また会えたなら、あなたの淹れた珈琲を」 (宝島社文庫)の感想をかいたとき(リンクはこちら)、「「ビブリア古書堂の事件手帖」 (メディアワークス文庫) のエピゴーネン」という趣旨のことを書きました。
その後「オーダーは探偵に―謎解き薫る喫茶店」 (メディアワークス文庫)(感想へのリンクはこちら)を読んで、ああ、エピゴーネンとは、この「オーダーは探偵に―謎解き薫る喫茶店」のことを言うのだ、「珈琲店タレーランの事件簿  また会えたなら、あなたの淹れた珈琲を」 はエピゴーネンとしてもまだまだかわいかったな、と反省しました。
「珈琲店タレーランの事件簿  また会えたなら、あなたの淹れた珈琲を」 「オーダーは探偵に―謎解き薫る喫茶店」の両方とも「ビブリア古書堂の事件手帖」 のエピゴーネンではありますが、振り返ってみると「珈琲店タレーランの事件簿  また会えたなら、あなたの淹れた珈琲を」 には独自性を出そうという意志が感じられたのです。
今回第2作の「珈琲店タレーランの事件簿 2 彼女はカフェオレの夢を見る」 を読んで独自色が強くなっていることを確認しました。

今回は、美星の妹・美空が登場し、暴れて(?) くれます。
登場する「第二章 狐の化かんす」がまず印象的ですね。
伏見稲荷と京都駅に同時刻に現れた少年、の謎解きは、くだらない、という読者もいらっしゃるかもしれませんが、こういうの好きです。
そしてそれが、美空のキャラクターを印象付けるのにも役立っている。
怪しげな断章が挟まれていくので、作者はなにかたくらんでいるのだな、と推察できて、その仕掛けもまあ他愛のないものではありますが、こちらも美空のキャラクターと関連付けがちゃんとできている。
細かい日常の謎的事件の積み重ねが、探偵自身(とその妹)の事件として立ち上がってくるという構図は、なかなか良いではありませんか。探偵の家族にまつわる事件なので、探偵・美星は語り手の「僕」の知らないデータを知っているわけで、フェアな謎解き、というわけにはいきませんが、本格謎解きを目指した作品ではありませんし、真相自体もなんとなく予想できる範囲内ですし(なので意外性はありません)、この作品はこれでいいのではないでしょうか。

実は第1作と人物設定に食い違いがあるように思えるところがあって気になったのですが、今後も毎回ちょっとずつ設定が食い違っていったら、それはそれでおもしろいなぁ、なんて考えてしまいました。
京都を舞台に、似ているけれど毎回ちょっとずつ設定の違う主人公たちが登場する一種のパラレルワールドみたいな世界??

進化を確かめに、第3作「珈琲店タレーランの事件簿 3 ~心を乱すブレンドは」 (宝島社文庫)もいずれ読んでみようと思います。


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