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サブマリンによろしく [日本の作家 あ行]


サブマリンによろしく (宝島社文庫 『このミス』大賞シリーズ)

サブマリンによろしく (宝島社文庫 『このミス』大賞シリーズ)

  • 作者: 大津 光央
  • 出版社/メーカー: 宝島社
  • 発売日: 2017/05/09
  • メディア: 文庫


<カバー裏あらすじ>
二十八年前、八百長疑惑をかけられてみずから命を絶った伝説の下手投げ投手K・M。行方不明になっていた千五百奪三振の記念ボールが発見されたのをきっかけに、彼を再評価する動きが起こる。作家の芹澤真一郎は、K・Mの伝記を書くべく関係者たちのもとを取材して回るが、彼にまつわる逸話にはいくつもの謎があった――。途絶した芹澤の原稿を引き継ぎ、野球嫌いの「あたし」が謎に迫る。


2021年10月に読んだ7冊目の本です。
第14回『このミステリーがすごい』大賞の優秀賞受賞作。
単行本で出た時のタイトルは「 たまらなくグッドバイ」でした。

下手投げ投手の自殺の謎を探る、ということでサブマリン。
その伝説の下手投げ投手K・Mのことをあたしがノン・フィクションとして書く。それはスポーツ作家であった芹澤真一郎氏に言われて始めたことだった、という形になっていまして、二重構造の額縁ともいえます。

いくつかのエピソードを積み重ねて実像に迫っていくのですが、話は飛び飛びですし、人物関係も一筋縄ではいかない配置になっていまして、すっきりした着地とかわかりやすい物語とはいえないものになっています。
ただ、物語として額縁タイプであることが効果をあげているように思いました。
複数の人物の思惑が絡み合った真相(と思われるもの)は、この形でないと描けなかったように思うからです。
そして額縁小説であるからこそ、一気にあたしの物語として収束していく展開が意味を持つように思います。

「 たまらなくグッドバイ」から「サブマリンによろしく」への改題も物語に組み込んで見せた心意気も楽しく感じました。



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