オチケン探偵の事件簿 [日本の作家 大倉崇裕]
<カバー裏あらすじ>
高座に上がった先輩が、突然演目を差し替えた理由とは? 水泳部と水球部の抗争になぜかオチケン(落語研究会)が関わることに? 大学入学早々、落語にまったく興味がないのに、廃部寸前のオチケンに入部させられた越智健一。風変わりな先輩二人に振り回され、次々起こる事件に巻き込まれ、必修科目の出席も夏休みの宿題もままならない彼の運命やいかに!? 落語の魅力とユーモアが満載の連作ミステリー。
2022年2月に読んだ最後の本です。
「オチケン!」 (PHP文芸文庫)(感想ページはこちら)
「オチケン、ピンチ!!」 (PHP文芸文庫)(感想ページはこちら)
に続くシリーズ第3弾。
第一話「幻の男」では、大学の枠を超え、千条学園の落語研究部の問題に巻き込まれます。
隆々たる落語研究部、なのですが、女子部員をめぐって問題があり、この問題が見事に着地するのが見どころです。
第二話「高田馬場」は、水泳部、水球部、ラグビー部をも巻き込んだ騒動となります。
新学長が計画する新たな学部棟の建設とラグビー場の移転に対する反対運動が持ち上がっているさなか、プールに撒かれた大量の新聞紙、高等科ロビーに展示されているウィニング・ラグビーボール盗難。
この事件の構図、大好きです。
ただ、気になったのは、前作「オチケン、ピンチ!!」 を読んだときには、岸先輩のことが、個人的にどうも好きになれず、中村先輩の方は、すんなり馴染めると思ったのですが、この「オチケン探偵の事件簿」 (PHP文芸文庫)では逆に、中村先輩に嫌な感じを受けてしまいました。こういう人でしたっけ?
この点を確かめるためにも、シリーズ続けてほしいですね。
だって、作中ではまだ夏休みですから、オチケン卒業まで、ぜひ。
<おまけ>
87ページに、別のシリーズの登場人物である牧編集長の名前が出て来て、ニヤリとしました。
<蛇足>
「これって、池袋園芸場じゃないですか」
「そうでしょ、園芸場です」
「いや、僕は演芸場かと思っていました」
「だから、園芸場と言っています」
「演芸が違います!」(272ページ)
演芸と園芸の勘違いをネタにした会話ですが、これ、文章として書かれて読むぶんにはいいのですが、話し言葉としてはどうでしょうね? これで会話成立しますか(笑)?
2022-11-03 11:37
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