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二歩前を歩く [日本の作家 石持浅海]


二歩前を歩く (光文社文庫)

二歩前を歩く (光文社文庫)

  • 作者: 浅海, 石持
  • 出版社/メーカー: 光文社
  • 発売日: 2016/09/08
  • メディア: 文庫

<カバー裏あらすじ>
ある日、僕は前から歩いてくる人に避けられるようになった。まるで目の前の“気配”に急に気がついたかのように、彼らは驚き避けていく……。(表題作) とある企業の研究者「小泉」が同僚たちから相談を持ちかけられ、不可思議な出来事の謎に挑む。超常現象の法則が判明したとき、その奥にある「なぜ?」が解き明かされる! チャレンジ精神溢れる六編のミステリー短編集。


この「二歩前を歩く」 (光文社文庫)という短編集については帯を見ていただくのがいいですね。


不可解な謎の「なぜ?」と「ルール」を解き明かす――。
「超常現象に理屈を求めても仕方ありませんから」

幽霊か、はたまた超常現象か
「一歩ずつ進む」
帰るたびに少しずつ部屋の奥へと移動するスリッパ……。
「二歩前を歩く」
向こうから歩いてきた人が驚いたように自分を避ける……。
「四方八方」
亡き妻の遺髪を、部屋の壁紙の裏一面に貼り付けて……。
「五カ月前から」
消したはずなのに、浴室の照明だけが勝手に点灯する……。
「ナナカマド」
誰も触れてはいないのにガソリンが増えているクルマ……。
「九尾の狐」
束ねた髪が左右に分かれ、意志があるように動き出す……。


各話それぞれ、とても魅力的な不思議な現象が起きます。
不思議だな。どうやって実現させたのかな? と思うのですが、この作品集では説明されません。超常現象なのです。
そして、どうしてその超常現象が起こったか、探偵役である「小泉」がその意図を解き明かす、という展開になります。
ユニークな枠組みの話だとは思うのですが......

解説で西上心太が
「逆接めくが、興ざめな合理的解決を読まされるくらいなら、この怪奇な世界に酩酊したまま留まらせてくれと思ってしまうのである。」(264ページ)
と書いていますが、いやいや、そこはどうやって実現させたのか、解いて欲しいでしょう、ミステリ読者としては。
(余談ですが、ここの逆接は逆説の誤りかと思います)

そういう設定、そういう前提の作品集であることは理解しても、不満を抱いてしまいました。
さらに、そうやって小泉によって解かれる真相(?) というか話の構図がどれも似たり寄ったりになってしまっているのも不満です。

個人的には残念な短編集でした。

<蛇足>
『「ダリコさんは髪を後ろでひとまとめにしてるでしょう」
 小泉は理子の外見を憶えていたようだ。すぐに反応した。
「ああ、いわゆるホーステールってやつか。」(225ページ)』
普通ホーステールではなく、ポニーテールと言いませんか??
調べてみると、ホーステールといういい方もあるようですが、少々びっくり。



タグ:石持浅海
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