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天空の少年探偵団 [日本の作家 あ行]


天空の少年探偵団 (創元推理文庫)

天空の少年探偵団 (創元推理文庫)

  • 作者: 秋梨 惟喬
  • 出版社/メーカー: 東京創元社
  • 発売日: 2012/08/11
  • メディア: 文庫


<カバー裏あらすじ>
君たち、夏休みの宿題は順調かい?──交番の鈴木さんが持ちかけてくれた天空館行き。僕らはねじり鉢巻で宿題を片づけ、噂の邸宅に意気揚々と乗り込んだ。ぜひ少年探偵団に会いたいと駆けつけたおじいさんおばあさんと合流し、賑やかな一夜を過ごしたところまではよかった。でも朝起きたら、あんなに愉快そうだった巨体のおじいさんが亡くなっていたんだ。しかも“不可能状況”で!


読了本落穂拾いを続けて、今回は2016年2月に読んだ、秋梨惟喬の「天空の少年探偵団」 (創元推理文庫)
前作「憧れの少年探偵団」 (創元推理文庫)(感想ページはこちら)を楽しんで読んだので期待して読みました。

今感想を書こうとしてパラパラめくってみて驚いたのが、語り口。
探偵団の一員(発起人?)で小学六年生という設定なのですが、まあ全体に爺臭い(笑)。
TKOの木下とか、はんにゃやフルポンといったお笑い芸人の名がたとえで出てくるのはよいとしても、成田亨、石ノ森章太郎は小学生には厳しいでしょう。これはまだ子供向けの特撮ヒーロー関連でOKと甘く見積もったとしても、柳生博とか柳生但馬守ときたら完全アウトですよね。

少年探偵団の縁起は冒頭25ページくらいからさらっと語られます。
笑ってしまったのは
「未菜美は名探偵は好きだけど、乱歩の少年探偵団物のことは馬鹿にしていたからね。」(26ページ)
という箇所。いや、子供の頃のぼくなら正直未菜美さんに激しく同意しますよ。
未菜美は別のところでも少年探偵団物を引き合いに出していまして
「秘密の地下道があるとか、壁が回転するとか、部屋自体がエレベーターになってるとか、天井が下りてきて人を押し潰すとか、そんなのありえないじゃん」
「怪人二十面相はよく使ってるよ」
「二十面相はいいのよ。もともと趣味でやってる人なんだから」(166ページ)
なんてところでは笑い出してしまいました。

前作「憧れの少年探偵団」の感想で、
「ミステリとしての趣向もなおざりにせず、凡庸な日常の謎に堕してしまわないようにお願いしたいです。」などと書いてしまいましたが、この「天空の少年探偵団」が扱うのは密室殺人!

と紹介するのはこのあたりにしないと、この企みに満ちた作品の鑑賞の妨げになるかもしれません。
それでもあえて書いておくとすると、少年探偵団物の弱点をうまく利用していることと、館もの、密室ものの難題の一つに豪快な解決を与えていること、でしょうか。

あとがきをみると、続編が期待できそうなのですが、その後刊行されていませんね。
読みたいので、ぜひ、ぜひお願いします。
もろこしシリーズも、ぜひ。




タグ:秋梨惟喬
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