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禿鷹の夜 [日本の作家 逢坂剛]


禿鷹の夜 (文春文庫 お 13-19)

禿鷹の夜 (文春文庫 お 13-19)

  • 作者: 逢坂 剛
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 2022/05/10
  • メディア: 文庫

<カバー裏あらすじ>
信じる者は拳とカネ。史上最悪の刑事・禿富鷹秋──通称ハゲタカは神宮署の放し飼い。ヤクザにたかる。弱きはくじく。しかし、恋人を奪った南米マフィアだけは許せない。痛快無比! 血も涙もひとかけらの正義もない非情の刑事を描いて、読書界を震撼させた問題作。本邦初の警察暗黒小説の登場です。


読了本落穂拾いです。
手元の記録では2016年5月に読んでいます。
逢坂剛の悪徳警官もののシリーズ第1作ですが、このシリーズ、昨年新装版が出ました。
手元にある旧版の文庫本はいまや検索しても出てきませんので、上に引用した書影はその新装版のものです。(あらすじは旧版のものです)

もともと警察小説はあまり得意ではなく、逢坂剛でいうと公安を扱った「百舌」シリーズは大好きでも、落ちこぼれ極楽コンビが主役のユーモアミステリ御茶ノ水署シリーズは好きになれないという状態ですので、悪徳警官ものであるこの禿鷹シリーズも、不安いっぱいで読みました。

読了した感想は、これはいい!
とても面白く、夢中で読みましたね。
主役である禿富がいいんです。
いや、正直、今振り返ってもどこがいいのかわからないんですが、読み通した感想は、主役がいい、なんです。
引用したあらすじにも書いてありますが、ヤクザやマフィアを敵に回してもまったく物怖じしない。
これだけだと、権力に媚びない一匹狼で、ある意味ヒーロー像に適うと思うのですが、一方で弱い者いじめをためらわない。
なんだ、これ?
解説で西上心太が
「傍若無人、自己中心、傲岸不遜、沈着冷静、冷酷無比……」
と書いていてまったくその通りなのですが、でありながら一方で恋人の敵を討とうとする。純なわけでもないのに。
禿富って、いったいどういうやつなんだろう? 妙に気になります。
この作品、禿鷹の内面描写がされないので、一層。
それでぐんぐん読み進んでしまう。
敵は強大ですし、肩入れするつもりはないのにハラハラしながら一気に読んでラストまで。

マフィア・スダメリカ(略称マスダ)に対する一本調子の復讐劇のようで一筋縄ではいかない逢坂剛の魅力を堪能しました。



タグ:禿鷹 逢坂剛
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