白戸修の狼狽 [日本の作家 大倉崇裕]
<カバー裏あらすじ>
なんとか中堅出版社に就職した白戸修。事件とは無縁な生活を送っているかと思いきや、鬼門である中野で、またまたトラブルに巻き込まれていた。でもやっぱり困っている人は見過ごせないし、人の頼みも断れない。クスッと笑えて、ほろっと泣けるハートウォーミングなミステリー、待望のシリーズ第二弾。
2022年5月に読んだ3冊目の本。
大倉崇裕のデビュー作「ツール&ストール」を含む短編集「白戸修の事件簿」 (双葉文庫)(感想ページはこちら)に続く、白戸修シリーズ第2弾です。
「ウォールアート」
「ベストスタッフ」
「タップ」
「ラリー」
「ベストスタッフ2 オリキ」
の5編収録。
主人公である名探偵(?)白戸修は無事就職戦線をくぐり抜け世界堂出版という会社に就職したようですが、そのキャラクターに拍車がかかっておりまして、お人好しというレベルから、どうみてもおせっかいという領域に達しているような作品もあります(笑)。
「ウォールアート」はその出版社の仕事の一環で、イラストレーターにスプレーを届けに行って、スプレーによる落書き事件に巻き込まれます。
「ベストスタッフ」では、大学時代の先輩に誘われて?中野サンプラザをモデルにしたと思しき新日本会館で実施されるアイドルのコンサートの設営バイトで、妨害事件に巻き込まれます。
「タップ」では中央線内で盗聴器入りのポーチを拾ったことから事件に巻き込まれます。
「ラリー」では中野駅で定期券を拾ったことから、フィギュアを賭けた裏スタンプラリーに巻き込まれます。このスタンプラリー、暴力沙汰も発生する無茶苦茶なものでして、テンポもよく巻き込まれ感満載で、シリーズにぴったり。シリーズ前作を受けたセリフも登場しますし、オチも効いています。
「ベストスタッフ2 オリキ」は「ベストスタッフ」に続いてコンサート関連で、今度は警備を仰せつかります。タイトルのオリキとは「追っかけにリキ入れてる人のこと」(353ページ)だそうです。
いずれも、途中で状況からして抜け出せる場面もあるのに、とどまって見届けてしまうのが白戸修が白戸修であることなのでしょう。
おせっかいという由縁です。
最後に、会社の仕事で長野県上田市にある中野駅へ行くことを命じられます。
次回作は、長野県が舞台かな??
<蛇足>
「月島って、あのもんじゃ焼きで有名な?」
「名物に美味いものなしです」(168ページ)
まあ、同意いたしますが(笑)、かなり思い切ったセリフですね。
SNSだと炎上しないかな? と心配してしまうところです。
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