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ジェノサイド [日本の作家 た行]


ジェノサイド

ジェノサイド

  • 作者: 高野 和明
  • 出版社/メーカー: 角川書店(角川グループパブリッシング)
  • 発売日: 2011/03/30
  • メディア: 単行本




2022年5月に読んだ5冊目の本で、単行本で読みました。
たしかKADOKAWAの株主優待でもらいました。
今では文庫化されています。末尾に書影を掲げておきます。

日本推理作家協会賞受賞作で、かつ、山田風太郎賞受賞作。
そして、
「このミステリーがすごい! 2012年版」第1位
2011年週刊文春ミステリーベスト10 第1位
と輝かしい賞歴を誇る作品です。

手元の単行本にはあらすじがないのですが、amazonから引用します。
「急死したはずの父親から送られてきた一通のメール。それがすべての発端だった。創薬化学を専攻する大学院生・古賀研人は、その不可解な遺書を手掛かりに、隠されていた私設実験室に辿り着く。ウイルス学者だった父は、そこで何を研究しようとしていたのか。同じ頃、特殊部隊出身の傭兵、ジョナサン・イエーガーは、難病に冒された息子の治療費を稼ぐため、ある極秘の依頼を引き受けた。暗殺任務と思しき詳細不明の作戦。事前に明かされたのは、「人類全体に奉仕する仕事」ということだけだった。イエーガーは暗殺チームの一員となり、戦争状態にあるコンゴのジャングル地帯に潜入するが…。」

ハリウッド・エンターテイメント的なスケールの大きい小説です。
冒頭プロローグはいきなりアメリカの大統領日例報告の会議ですし、続いて第一部は民間軍事会社の傭兵(?) であるイエーガーの下に最高国家機密である任務が持ち込まれるシーンで幕が開き、まさに人類の存亡のかかった物語展開となっていきます。
ヒトの進化が扱われていて、FOXP2という転写因子と呼ばれる遺伝子や収斂進化の説明が簡単になされ、進化して生まれてしまった乳児の争奪戦(あるいは抹殺指令)へと話が転がっていきます。
風呂敷の拡げ方がとてもきれいで楽しめます。

ミステリー、SF、国際謀略小説。いろいろな要素を含んだ小説で「、一大エンターテイメントの傑作ですが、このような小説が推理作家協会賞を受賞しているのは不思議です。
圧倒的な力強さ、迫力が認められたということでしょう。

協会賞の選評で、新保博久のコメントに感銘を受けましたので引用しておきます。
ただ、ネタバレに近いので字の色は変えておきます。
これだけ大きな風呂敷を広げる以上、いくつか綻びはあって当然だが、この長篇は畢竟、万能に近い強者が“弱小国”アメリカを翻弄する物語ではないかという点に最もひっかかった。すべて釈迦の掌の上だったわけで、徒手空拳の主人公が強敵と闘って勝利を収めてゆく、という冒険小説の本道とはベクトルが正反対のような気がしたのだ。とはいえ、初読時にはそれと気づかせなかった素晴らしい疾走感、そのペースを全篇に維持した膂力には、依然脱帽するにやぶさかではない。

ところで、手元にある単行本は、平成27年7月25日の第7刷なのですが、カバーにある価格は税抜きで1,800円。
amazon で価格を見ると、1,580円のようです。値下げしたんでしょうか?

最後に文庫版の書影を。
ジェノサイド 上 (角川文庫)

ジェノサイド 上 (角川文庫)

  • 出版社/メーカー: KADOKAWA/角川書店
  • 発売日: 2013/12/25
  • メディア: 文庫

ジェノサイド 下 (角川文庫)

ジェノサイド 下 (角川文庫)

  • 作者: 高野 和明
  • 出版社/メーカー: KADOKAWA/角川書店
  • 発売日: 2013/12/25
  • メディア: 文庫



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