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八人の招待客 [海外の作家 パトリック・クェンティン]


八人の招待客 (海外ミステリ叢書《奇想天外の本棚》)

八人の招待客 (海外ミステリ叢書《奇想天外の本棚》)

  • 出版社/メーカー: 原書房
  • 発売日: 2019/09/13
  • メディア: 単行本

<カバー裏あらすじ>
『八人の中の一人』……大晦日の夜、マンハッタンの四十階の摩天楼の最上階に集まった株主たちが、会社合併の是非を問う投票をしているところへ、合併を阻止するべく、真夜中までに株主たちを全員抹殺するという脅迫状が舞い込む。階下へのエレヴェーターは止まり、電話も通じず、階段に通じる扉には楔が打たれ、照明のヒューズも飛んで、株主たちは、暗闇の中に閉じ込められてしまう。そして起こる連続殺人……犯人は八人の株主たちの一人なのか? 彼らは閉じ込められた最上階から果たして脱出できるのだろうか?
『八人の招待客』……過去に公表できない秘密を持つ男女に、奇矯な行動で知られる富豪から、不穏な招待状が届く。富豪の意図は、共通の敵である脅迫者を、招待客と共に始末しようというものだった。ところが、富豪の計画は、招待客の一人の裏切りから、予想外の窮地に追い込まれていく。折からの雪嵐に降り込められ、電話も交通も、そして電力さえも遮断された暗闇の邸宅の中で、邪悪な連続殺人が幕を開ける。
 二転三転する展開が、不気味で強烈なサスペンスを生み出す、Q・パトリック真骨頂なオフ・ビートな逸品二本立て。
 海外の識者によって、シングル・ロケーションによる『そして誰もいなくなった』の先行作として認定された、Q・パトリックの傑作が、半世紀の時を超えて、ここに新訳で甦る。クローズド・サークルの暗闇の中で嘲笑う作者の奸計を、読者は果たして見破ることができるのだろうか? これを読まずしてクエンティンを語るなかれ!


2022年6月に読んだ2冊目の本です。
単行本です。
原書房から出ていた山口雅也監修の叢書《奇想天外の本棚》、原書房からは打ち止めで、国書刊行会に舞台を移して再出発しているのですね。
この「八人の招待客」(原書房)はリニューアル前のもので、読むのはクレイトン・ロースン「首のない女」 (原書房)(感想ページはこちら)に続いて2冊目です。
あと1冊クリスティーの「アリバイ」 (原書房)があって、こちらは戯曲というので見送っていたのですが、シリーズを揃える意味で買った方がいいのかな??と思うようになりました。

さておき、「八人の招待客」(原書房)です。
二話収録の中編集。

「そして誰もいなくなった」 (ハヤカワ クリスティー文庫)の先行作という触れ込みで、二話とも確かに似た要素がいろいろとあるのですが、読んだ印象はずいぶん違いますね。

『八人の中の一人』はビルの最上階という現代的な舞台がいいですね。
合併をめぐる駆け引きのような中で、社長秘書であるキャロルの恋愛的な話が盛り込まれているのが注目のポイントですね。
非常にサスペンスフルな展開に、この要素が結構大きなインパクトを与えています。
タイトに作り上げられた佳品で、よかったですね。

『八人の招待客』は 脅迫者を根絶(=殺)してしまおうという企みを秘めた招待からはじまる物語。
状況的には、クリスティの別のある作品の裏返しのような感じと思われるかもしれませんが、まるで殺人ゲームのような殺人計画が面白く、予期せぬ来客と予期せぬ出来事で、事態は思わぬ方向へ。
こちらもピリッとツイストが効いた良作だったと思います。
富豪の執事ボウルズのファンになってしまいました。

国書刊行会に版元を移して、《奇想天外の本棚》は再スタートしています。
そちらも楽しみです。

原題:The Jack of Diamonds / Murder on New Year’s Eve
著者:Q Patrick
刊行:1936年 / 1937年
訳者:山口雅也




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