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殺し屋 最後の仕事 [海外の作家 は行]


殺し屋 最後の仕事 (二見文庫 ザ・ミステリ・コレクション)

殺し屋 最後の仕事 (二見文庫 ザ・ミステリ・コレクション)

  • 出版社/メーカー: 二見書房
  • 発売日: 2011/09/21
  • メディア: 文庫

<カバー裏あらすじ>
アイオワ州の切手ディーラーの店で、ケラーは遊説中のオハイオ州知事が何者かに射殺されたとのニュースを聞く。引退を考えていたケラーが、アルと名乗る男の依頼を最後の仕事にしようと、アイオワにやってきたのが数日前。やがてテレビに知事の暗殺犯としてケラーの顔写真が映しだされる。全国に指名手配され、ドットとも連絡が取れなくなったケラーの必死の逃亡生活が始まった──濡れ衣をはらすため、そして罠にはめた男への復讐のために。シリーズ最強と評価される傑作ミステリ。


2023年6月に読んだ5冊目の本です。
ローレンス・ブロックの殺し屋ケラー・シリーズ4冊目。「殺し屋 最後の仕事」 (二見文庫 ザ・ミステリ・コレクション)

基本的には殺し屋ケラーの穏やかな日常を描いていくこのシリーズですが、「最後の仕事」と銘打たれた今回は、まったく穏やかではありません。
なにしろ、ケラーが州知事狙撃犯と目されて逃亡生活を余儀なくされるのですから。

この展開、伊坂幸太郎の「ゴールデンスランバー」 (新潮文庫)(感想ページはこちら)を思わせるのですが、本書の解説を伊坂幸太郎が書いていて、人を得た!、という感じです。
この解説が極めてスグレモノでして、ぜひぜひ、ご一読を。

シリーズ読者にとっては、前半で衝撃的な展開を迎えるのがポイントですね。
まさかトッドが......(自粛)
そのため、逃避行は新しい局面に入り、物語は中盤、舞台はニューオーリンズに移ります。

激しく緊迫した前半、落ち着いた雰囲気の中盤、そして急展開する終盤と、物語のリズム感がとても心地よい。
基本的には殺し屋ケラーの穏やかな日常を描いていくこのシリーズと書きましたが、実はローレンス・ブロックの本質は、このリズム感なのかも、と感じました。


最後にこのシリーズのリストを。
「殺し屋」 (二見文庫―ザ・ミステリ・コレクション)
「殺しのリスト」 (二見文庫―ザ・ミステリ・コレクション)
「殺しのパレード」 (二見文庫 ザ・ミステリ・コレクション)
「殺し屋 最後の仕事」 (二見文庫 ザ・ミステリ・コレクション)
「殺し屋ケラーの帰郷」 (二見文庫 ザ・ミステリ・コレクション)
と5冊刊行されています。
現段階で、もう一冊あるのですよね。楽しみ、楽しみ。


<蛇足1>
「そこで部屋に野球帽を忘れたことに気づいた。が、怪我の功名で、ドレッサーの上にルームキーを置いて出ることも忘れていた。で、鍵がなくてもドアが開けられ、帽子を取りに部屋に戻ることができた。」(146ページ)
モーテルの部屋を出てからの話なのですが、この部分の意味がわかりませんでした。
ルームキーを置いて出ることを忘れていた、というのですからキーは持って出たということかと思います。つまり鍵を持っているのに ”鍵がなくても” というのはどういうことでしょう???

<蛇足2>
「さすらいの絞首刑執行人を描いたローレン・D・エスルマンの西部小説で」(238ページ)
ケラーが読む小説です。ローレン・D・エスルマン、なんだか懐かしい名前ですね。
ミステリも書いている作家です──確か、積読本があったはず(笑)。


原題:Hit and Run
作者:Lawrence Block 
刊行:2008年
翻訳:田口俊樹






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