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警官の騎士道 [海外の作家 は行]


警官の騎士道 (論創海外ミステリ)

警官の騎士道 (論創海外ミステリ)

  • 出版社/メーカー: 論創社
  • 発売日: 2013/10/01
  • メディア: 単行本




2023年10月に読んだ7冊目の本です。
ルーパート・ペニーの「警官の騎士道」 (論創海外ミステリ)
論創海外ミステリ110です。

ルーパート・ペニーの作品を読むのは
「甘い毒」 (国書刊行会 世界探偵小説全集 (19))
「警官の証言」 (論創海外ミステリ)(感想ページはこちら
に次いで3冊目です。
「ルーパート・ペニーの別の作品が翻訳されたら、きっとまた読むことでしょう。」なんて「警官の証言」感想で書きましたが、結局9年間が空いてしまいました。

ルーパート・ペニーの作品はいかにもなクラシック・ミステリで(「読者への挑戦」も376ページにあります!)、悪い意味ではなく地味なのですが、この「警官の騎士道」 (論創海外ミステリ)の場合は、探偵役のビール警部が、被害者一族の中の一人で有力な容疑者であるイーヴリンに好意を抱いてしまい、イーヴリンが犯人である可能性を考えたくないので捜査の過程からイーヴリン犯人説を極力排除しようとする(!) という、なかなかおもしろい展開を見せてくれます。
初対面の後、ビールは一緒に捜査に当たるトニー(雑誌の副編集長が警察の捜査に参加するのですから時代を感じさせますね)に
「惚れたな。一目瞭然だ」(112ページ)
とからかわれる始末。
物語の終盤22章になっても
「そうすると残りはイーヴリンしかいないようだ。それでもビールは、彼女が犯人かもしれないという可能性に向き合うことを、まだかたくなに避けていた。」(360ページ)
という状態。

この予断を持った状況が謎解きにどう影響を与えるのか、ちょっとハラハラしながら読んだので作者の術中に嵌まったということなのでしょう。
面白かったです。


<蛇足1>
「とはいえ、周知の限りではカルーは海外にいるようですし、いまだに同じ名前を使っているとはまったく思えません。」(23ページ)
「周知の限り」という表現、初めて見た気がします。
正直意味がよくわかりません。

<蛇足2>
「いま話したように、九時の時点でわれわれはコーヒーを飲んでいた。少なくとも理論上は、だが──まあ、紅茶だったかもしれない。」(46ページ)
理論上は??? どういう意味でしょう?
また自分たちのことなのに、コーヒーか紅茶かもわからないのも謎です。

<蛇足3>
「サー・レイモンドはビリヤードに夢中なことから、それが体に悪いとは気づかずに、普通のテーブルの上に載せて使うビリヤード用天板を購入したようです。大きさは正規の台の半分だったと思いますが、うるさいことを言わなければかなり楽しめるものです」(141ページ)
ビリヤード用天板などというものがあるのですね。
ポケットのないキャロム用なのでしょうね。

<蛇足4>
「まったく新し提案をしよう──実は、アガサ・クリスティーの小説からそのまま拝借したんだがね。全員が犯人かその協力者で、したがってみんなが嘘をついていて、お互いの証言を裏付けてるのさ」
 しかしながら、この提案を真剣に検討しようという者は誰もいなかった。(328ページ)
タイトルは明かされていませんが、やはりあの作品はセンセーショナルだったのですね。



原題:Policeman in Armour
著者:Rupert Penny
刊行:1937年
訳者:熊井ひろ美







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