SSブログ

スネークスキン三味線 庭師マス・アライ事件簿 [海外の作家 は行]


スネークスキン三味線―庭師マス・アライ事件簿 (小学館文庫)

スネークスキン三味線―庭師マス・アライ事件簿 (小学館文庫)

  • 出版社/メーカー: 小学館
  • 発売日: 2008/04/04
  • メディア: 文庫

<カバー裏あらすじ>
ラスヴェガスのカジノで五〇万ドルの大金を手にした日系人男性が殺された! 傍らには、壊された三味線が――。
殺人容疑をかけられた親友G・Iの無実を晴らすべく、日系人庭師マス・アライがG・Iのガールフレンドで私立探偵のジャニタとコンビを組んで奔走する。
オキナワの歴史と戦時中の日系人収容所での出来事が複雑に絡み合う、事件の裏に隠された根深い真相とは?
前作『ガサガサ・ガール』に続き、ユーモラスで強烈な個性を放つ「庭師マス・アライ事件簿」シリーズ第二弾。日系人初のアメリカ探偵作家クラブ賞受賞作。


2022年4月に読んだ7作目(8冊目)の本です。
前作「ガサガサ・ガール―庭師マス・アライ事件簿」 (小学館文庫)(感想ページはこちら)が個人的にはまったくダメだったので、MWA最優秀ペイパーバック賞を受賞しているとはいえこの「スネークスキン三味線―庭師マス・アライ事件簿」 (小学館文庫)は読まずにおこうかと思っていました。
ところが今年、シリーズ最終作の「ヒロシマ・ボーイ」 (小学館文庫)が翻訳され(作者名が平原直美と漢字表記になっています)、評判がよいということではありませんか。
最優秀ペイパーバック賞もとっていることだし、怖いもの見たさ半分、読んでみようかと。

結論から申し上げますと、やはり、ダメでした。

原書が2006年というのを疑いたくなるほどの歪んだジャポニズム満載。ほぼ日本のことを理解していない作者ですね。
また、カタカナの日本語が目障りで読みにくい。これは原書でもおそらくイタリック体を使ったりしているでしょうから、翻訳のせいではなく、そもそもこの本が抱えている欠点だと思います。
しかも作者が日系人だというのにもうんざりできます。

ただ、最優秀ペイパーバック賞をとるだけあって、と言うべきなのかどうか、事件の構図は悪くないです。
「ガサガサ・ガール」感想で、「このレベルのままだとあまりにも悲しすぎるので、MWA賞を獲っている分、ミステリ部分が向上していることを期待して読むことにします」と書いた部分は、ある程度期待に応えてくれています。

でも、日本人としては(と主語を大きくしてしまいますが)、読み進むのがつらい作品と言わざるを得ないと思ってしまいます。


<蛇足>
「この男は兄を失って嘆いているようにはとても見えない。シャツはアイロンをかけたばかり、ジーンズも同じだった。」(129ページ)
ジーンズにもアイロンをかけるのですね。


原題:Snakeskin Shamisen
作者:Naomi Hirahara
刊行:2006年
訳者:富永和子






nice!(12)  コメント(0) 
共通テーマ: