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独白するユニバーサル横メルカトル [日本の作家 は行]


独白するユニバーサル横メルカトル

独白するユニバーサル横メルカトル

  • 作者: 平山 夢明
  • 出版社/メーカー: 光文社
  • 発売日: 2006/08/22
  • メディア: 単行本


2022年8月に読んだ2冊目の本です。
第59回日本推理作家協会賞短編賞受賞作を表題作とした短篇集です。
単行本で読みましたが、当然、文庫化されています。

独白するユニバーサル横メルカトル (光文社文庫)

独白するユニバーサル横メルカトル (光文社文庫)

  • 作者: 平山 夢明
  • 出版社/メーカー: 光文社
  • 発売日: 2009/01/08
  • メディア: 文庫


「C10H14N2(ニコチン)と少年──乞食と老婆」
「Ωの聖餐」
「無垢の祈り」
「オペラントの肖像」
「卵男(エッグマン)」
「すまじき熱帯」
「独白するユニバーサル横メルカトル」
「怪物のような顔(フェース)の女と溶けた時計のような頭(おつむ)の男」
の8編収録の短編集です。

ホラーはもともと得意科目ではないことに加えて、グロい描写を特に苦手としますので、実のところ好きな作風ではありません。
普通だったら手に取らないところ、日本推理作家協会賞を受賞しているので購入した次第。

で、当然の如く永らく積読にしていたわけですが、こわごわ読みだしたら、好きな作風ではないのに、一編一編読み進んでやめられず一気に読んでしまいました。
なんという吸引力。
8話それぞれ違うタイプの悪夢を見せてくれます。

やはり表題作「独白するユニバーサル横メルカトル」のインパクトが強いですね。
語り手が地図という技巧、その語り口が執事風という楽しさに浸りました。

「怪物のような顔の女と溶けた時計のような頭の男」に
「確かにブリキ板に落ちたスプーンを目覚まし代わりにするのは画家ダリが工房で好んで使った眠り方だった。」(268ページ)
なんてさらりと衒学的なことが書いてあるように、グロになかにも変幻自在な語りが魅力なのだと思います。

しかし、この年の協会賞の候補作は、表題作に加えて
『克美さんがいる』 あせごのまん
『壊れた少女を拾ったので』 遠藤徹  
『バスジャック』 三崎亜記
『流れ星のつくり方』 道尾秀介
というラインナップだったようで、ホラーサイドに大きく寄った候補作群だったのですね。


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