アレン警部登場 [海外の作家 ら行]
<カバー袖あらすじ>
パーティの余興だったはずの「殺人ゲーム」。
死体役の男は、本当の死体となって一同の前に姿を現わす!
謎を解くのは、一見警察官らしからぬアレン主任警部。
犯人は誰だ!? ── 黄金時代の四大女性作家のひとり、ナイオ・マーシュのデビュー作、遂に邦訳登場。
2022年11月に読んだ2冊目の本です。
単行本で、論争海外ミステリ18。
ナイオ・マーシュのデビュー作。
ナイオ・マーシュの作品はこれまで何作か読んだことがありますが、あまり印象に残っていません。
この「アレン警部登場」 (論創海外ミステリ)を読んでも、その印象は変わらずで、おそらくすぐに忘れてしまうことでしょう。
非常にしっかり作られているなとは思うのですが、いい意味でも悪い意味でも際立ったところがなく、おそらくアレン警部とナイジェル・バスゲイトのキャラクターは作を重ねることで深まっていくのでしょうが、この作品ではまだまだ緒に就いたばかりという印象です。
典型的なお屋敷ものの舞台設定に、ロシア人秘密組織が絡むという異色の展開を見せますが、本格ミステリとしては少々上滑り感があります。
お屋敷で行われる殺人ゲームで実際の殺人が起こる、というストーリーです。
殺人ゲームというのはイギリスの本格ミステリでときどき見かけるゲームですが、おもしろいのでしょうか?
ゲームのやり方を紹介しているところを読んでも、あまりおもしろそうにはならないように思えるのですが......
個人的には、犯行シーンが分かりにくかったのがちょっと残念でした。
「それに最近の小説にでてくる刑事は、あまりにも庶民的でなんだかウソくさいし。それに比べてあのアレンという警部は、堂々とした風采といい、洗練された話し方といい、エドワード七世時代風だわ。あの貴族的な調子で追及されるのは、むしろ光栄なくらい。」(149ページ)
と評されるアレン警部は、もっとつきあってみたいかもと思わせるものがありますので、ほかの作品も読んでみたいと思います。
(既読分はすっかり忘れちゃっているので、再読してもよいかも、ですが)
原題:A Man Lay Dead
著者:Ngaio Marsh
刊行:1934年
訳者:岩佐薫子