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C.M.B.森羅博物館の事件目録(43) [コミック 加藤元浩]


C.M.B.森羅博物館の事件目録(43) (講談社コミックス月刊マガジン)

C.M.B.森羅博物館の事件目録(43) (講談社コミックス月刊マガジン)

  • 作者: 加藤 元浩
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2020/02/17
  • メディア: コミック



シリーズ第43巻です。
「C.M.B.森羅博物館の事件目録(43)」 (講談社コミックス月刊マガジン)

この第43巻は、
「気の合わないヤツ」
「透明魚」
「歯医者」
「カメオグラス」
の4話収録。

「気の合わないヤツ」は、イラクのクルド人自治区が舞台。
家族や一族の名誉を守るために行われる殺人=「名誉殺人」というのが衝撃的ですが、異教徒の蛮習と言い切ることはできませんね。日本だって、家のため、名誉のため、といった動機のミステリ、名作・傑作にもありますよね。
なんとか脱出したいという少女の希望をどうやって叶えるか、という話になっており、定番中の定番のトリック(?) が使われます。
作中では描かれないのですが、少女の伯父の心情を知りたくなりました。伯父も同じサイドに立っているのでは、と思えましたので。

「透明魚」は、監視状況下の美術館へどうやって侵入したか、という謎を扱っています。
扱っているテーマは、表現の自由。
「そんなに大事な権利なの?」
「もちろん なぜなら…… 独裁者が必ず真っ先に潰しに来るのが『表現の自由』だから」
というのが象徴的です。
続けて森羅がいうセリフがすべてかもしれません。
「自分の考えを誰もいない砂漠で叫んでもなんの問題もないし わざわざ法律で守る必要もない
……ってことは『表現の自由』とは他者に自分の考えを広める権利ということになる
 つまりコミュニケーションをとる権利だ
 だから表現するには他者に受け入れてもらうための『手続き』がいる
 これを『プロトコル』と言う
 マナーを守り丁寧な言葉でわかりやすく説明することを心がけて相手と情報をやり取りする場を作る」
そして博物館や美術館は「表現の場というプロトコルを守っている」と。
まだ高校生というのに森羅しっかりしていますね(笑)。さすがC.M.B.の指環の持ち主。
ただ、この作品のトリックは無理だと思います......

「歯医者」は歯医者でタイムリープに陥ってしまった青年の話。その歯医者の待合に森羅がいる(笑)。
予定調和といえば予定調和の物語ですが、すっきりまとまっていてよかったです。
ラストの少女をめぐるエピソードを見ると、青年のお相手が ”Gifted” だという設定だともっとよかったかも、と思いましたが......

「カメオグラス」はマオが登場し、「ピラネージの花瓶」ばりのカメオグラスをめぐる駆け引きがなされます。
カメオグラスに関わる仕掛けは大したことないのですが、転んでもただでは起きないマオがあっぱれ。
それよりなにより、すごく久しぶりにヒヒ丸が出てきたのが嬉しい。
いや、それよりも、ラストでマオが漏らす情報がすごい。
森羅から"C""M""B"の指輪を取り上げようという話が出てるというのですから(一応色を変えて伏せ字にします)。
いよいよシリーズも終盤ということですね......


タグ:加藤元浩 CMB
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