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海賊モア船長の憂鬱 [日本の作家 た行]


海賊モア船長の憂鬱 上 (角川文庫)海賊モア船長の憂鬱 下 (角川文庫)海賊モア船長の憂鬱 下 (角川文庫)
  • 作者: 多島 斗志之
  • 出版社/メーカー: 角川書店(角川グループパブリッシング)
  • 発売日: 2009/08/25
  • メディア: 文庫


<裏表紙あらすじ>
イギリス東インド会社に勤めるクレイは、インド東海岸にある港街、マドラスに到着した。謹厳実直で知られる上席商務員が〈マドラスの星〉と称される400カラットのダイアモンドを手に姿を消したのだ。誘拐か、はたまた着服か。事件にはどうやら「果敢にして知略に秀づ」とその名を轟かす海賊モア船長が関わっているという噂があり……。勇敢で聡明な海の男たちが活躍する、才智を尽くした頭脳戦! 海洋冒険小説、待望の文庫化。 <上巻>
悪名高きアドヴェンチャー・ギャレーを率いる隻腕のモア船長。並外れた商才を発揮しマドラス長官にまで上りつめたピット。400カラットのダイアモンドを手に夫が失踪、真相究明にはるばるマドラスへやってきたフィリップス夫人。社命を受け真実を追うクレイだが、彼を取り巻く人々も一筋縄ではいかないクセ者ばかり……。予想もつかないどんでん返しが待ち受ける衝撃の結末! 『症例A』の著者が描く、大興奮の海洋冒険小説。 <下巻>

「海賊モア船長の遍歴」 (中公文庫)に続く、シリーズ第2弾。
作者の多島斗志之は、行方不明なんですね。
東京創元社のホームページで捜索の協力依頼が出ています。リンクはこちら

多島斗志之といえば、デビュー作となった「龍の議定書(プロトコル)」 (講談社文庫)(最初のタイトルは、「〈移情閣〉ゲーム」で、講談社ノベルスで綾辻・有栖川復刊セレクション として2007年に復刊されたときには、原題に復帰しています) が非常に印象的で、謀略小説が好きなもので、かなり読んできています。
「聖夜の越境者」 (講談社文庫)「CIA桂離宮作戦」 (徳間文庫)などの初期の作品、あまり評判にはなりませんでしたが、夢中になって読んだものです。

非常に作風が多彩で、謀略小説以外にもさまざまな作品を書いていまして、このシリーズは、海賊を主人公に据えた海洋冒険小説です。
この「海賊モア船長の憂鬱」 は、視点を東インド会社の社員に据えて、外から海賊モア船長を描くという趣向になっています。つまり、正面から「冒険小説」という書き方をしていません。このあたりのひねり方が、さすが多島斗志之と感じます。
十八世紀はじめのインド洋を中心舞台とし、当時のイギリス、フランス、オランダなんかの状況をうまく背景に取り込んでいます。そして、もちろん、海賊の活躍。
ダイヤモンド〈マドラスの星〉なんて、いかにも、でわくわくします。
前作「海賊モア船長の遍歴」 でおなじみになっていることもあって一層、モア船長に肩入れして読んでしまいますね。
この第2作には、ミステリっぽい趣向も盛り込まれており、〈マドラスの星〉の絡む失踪事件とか、東インド会社の怪しい長官とか、失踪した社員の美しい妻とか、道具立てはそろっていて、ある意味下巻は謎解き編といってもいいのかもしれません。多島斗志之ならではの海洋冒険小説に仕立てあがっています。
また新作を発表してもらいたいです。
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