SSブログ

深海のアリバイ マイアミ弁護士ソロモン&ロード [海外の作家 ら行]




<裏表紙あらすじ>
二人きりのボートで環境保護局員が殺され、サンゴ礁に浮かぶリゾートホテルを構想する大物実業家ハル・グリフィンに容疑が。ヴィクトリアは家族ぐるみの付き合いだった彼の弁護を引き受けたものの、恋人で共同経営者のスティーヴは、ジュニア・グリフィンのかっこよさに嫉妬して、ダイバーの彼を疑う始末。 <上巻>
父親の法曹資格回復申請を当人に拒否されて行き詰まるスティーヴは、事件の関係者に話を聞いてまわるうちに何者かに襲われ、甥のボビーのお蔭で九死に一生を得た。裁判は不利な展開ながら親密さを増していく母親とグリフィンの関係に悩まされるヴィクトリア。ジュニアとの恋の行方、そして事件の真相は? <下巻>


「マイアミ弁護士 ソロモン&ロード」(上) (下) (講談社文庫)の続編です。
amazon.co.jpで確認すると、「マイアミ弁護士 ソロモン&ロード」(上) (下) も、「深海のアリバイ」(上)(下)も、絶版になってしまっているようですね。おもしろいのに。
ポール・リヴァインという表記で「マイアミに死体はふえる」 (文春文庫)「愛して殺してマイアミで」 (文春文庫)が訳されていましたが、2冊で翻訳が途絶え、出版社が講談社に移って出た今回のこのシリーズも2冊で打ち止め。
軽妙なストーリー展開と登場人物のやりとりを持ち味とする作品は、なかなか日本では受け入れられないのでしょうか? 大好きなんですけどねー、こういう作品。

さておき、今回のスティーヴ・ソロモンの弁護術も強引、というか、無茶苦茶というか、すごいです。
ソロモン法とかいうスティーヴの信奉する(?) 法則が折々に書かれているのが、また楽しい。
1. 事実が法にそぐわないというなら……事実をねじまげろ。
2. 依頼人は罪を犯していると常に考えろ。そうすれば時間の節約になる。
とかですよ。かなり極端で愉快です。

今回はスティーヴに恋敵が現れます。
それは、ヴィクトリアの幼馴染み(初恋の人)で、被告人の息子ジュニア・グリフィン。
金持ちで、ハンサムで、アバクロンビー&フィッチの生きた広告で、スポーツもよくできて、そしてスピードの水着のかなり大きなふくらみ(笑)。赤銅色のアドニス(上巻120ページ)、なんて表現もあります。
ちなみに、〈ポリネシアン・ビーチ・クラブ〉に行くシーンがあるのですが、ここはヌーディスト・クラブ。
ここで、スティーブ(とヴィクトリア)は、ジュニアのふくらみの中身を確認することになります。これまたすごいですよ(笑)。
「わずかに傾いて、金髪の茂みに囲まれているのは、自信満々で “おい、おれを見ろよ” と呼びかけているサラミソーセージだった。この野郎はマレットなしでもクロッケーがプレーできそうだ。」(下巻103ページ)
怪物って表現もありますが、マレットって...どんだけ大きいんですか!?
いつもは自信満々のスティーヴが、ジュニアの登場で調子を狂わされるところがおかしい。
ヴィクトリアの内面(描写)もジュニアのせいで、ちょっとおかしくなっているみたい。

スティーヴの父親の法曹資格回復の話と、ジュニアの絡む事件の話と、ヴィクトリアの父親の話が、三つまじりあって解決になだれ込んでいく、そしてスティーブとヴィクトリアとジュニアの恋の鞘当て(?) の結末も。
事件もちゃんと二転三転しますし、弁護士らしく派手な法廷シーンもあります。
スティーヴの甥のボビーもかわいいうえに、活躍するし、こんなに何拍子も揃ったエンターテイメント、どうして売れないんでしょうね?
新刊が訳されたら、かならず買いますよ! ぜひどこかで出してください!



原題:The Deep Blue Alibi
作者:Paul Levine
刊行:2006年
翻訳:細美遥子



nice!(12)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:

nice! 12

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0