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ブック・ジャングル [日本の作家 石持浅海]

ブック・ジャングル (文春文庫)

ブック・ジャングル (文春文庫)

  • 作者: 石持 浅海
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 2013/11/08
  • メディア: 文庫

<裏表紙あらすじ>
沖野国明は昆虫学のフィールドワークからの帰国後、思い出の場所、市立図書館が閉鎖されたことを知る。見納めのため友人と深夜の図書館に忍び込み、高校を卒業したての女子三人組に出会う。彼ら不法侵入者達にとって予期せぬ苛酷な一夜が幕を開けた――。恐怖の閉鎖空間で石持ワールドが炸裂する強力長編。


今月(12月)に読んだ2冊目の本です
いやあ、石持浅海、やっぱり変なこと考えるなぁ。
クローズド・サークル大好き作家である石持浅海がこの「ブック・ジャングル」 で選んだ舞台は図書館。
でも、いつもの推理合戦(?) ではなく、今回は冒険小説仕立て(?)。
文庫版あとがきにも「冒険ものを書いてみたい」(342ページ)と書かれています。作者の発想の舞台裏が覗けて、このあとがきがおもしろいですよ。

上であらすじを引用しましたが、解説で円堂都司昭が書いているあらすじが好きです。
「廃館が決定し閉鎖された図書館に、女子三人組と青年コンビが、それぞれ忍び込む。廃棄処分されてしまう懐かしい児童書を頂戴するため。自分が昆虫学者を目指すきっかけとなった昆虫図鑑をもう一度眺めたいから。互いに侵入目的の似通っていた二グループは、館内で鉢合わせする。その直後、彼らは正体不明の敵に攻撃される。偶然知り合った若い男女は協力して防御にあたり、脱出を試みるが、敵の策略に阻まれて事態をなかなか打開できない」

割と早い段階でわかるので書いてしまいますが、ラジコンヘリで襲われるというのがポイントとなっています。
ラジコンヘリに襲われたら怖いか? とも思いますが、毒針がついていたり、仕掛けがあったりしたら、まあ怖い気がします。
あちこち設定に無理がありますが、この攻防(というか主人公たちからみればほぼ一方的な“防”ですが)がなかなかおもしろかったですね。
もっと早く、防だけではなく、攻にも転じていればもっともっとおもしろかったかもしれませんね。反撃の糸口はかなりふんだんにあったように思えましたので。

残念だったのは、犯人の設定。
犯人の動機が変とかは、石持浅海の場合欠点に挙げないことにしているのでその点は置いておくとして、すぐに読者に見当がついてしまう犯人というのは面白みに欠けたなぁ、というところ。
何度か犯人サイドの視点と思しきエピソードが挿入されるのですごくわかりやすくなっています。
こういうエピソードをすべて伏せてラストに持っていっていきなり明かすと、唐突感は否めなかったと思うので、ある程度読者に背景をさらしておく必要はあったのだと思いますが、残念ですね。

ということで、かなりへんてこな作品を読んだなぁという印象です。
へんてこな作品も好きなので、個人的には気に入りましたが、あまり他人にはお勧めしづらい作品でした。


タグ:石持浅海
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