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顔のない魔術師 ロンドン警視庁特殊犯罪課 2 [海外の作家 あ行]


顔のない魔術師 (ハヤカワ文庫FT)

顔のない魔術師 (ハヤカワ文庫FT)

  • 作者: ベン アーロノヴィッチ
  • 出版社/メーカー: 早川書房
  • 発売日: 2013/07/24
  • メディア: 文庫


<裏表紙あらすじ>
歓楽街ソーホーで奇妙な事件が多発した。ジャズ・ミュージシャンが演奏直後、あるいは帰宅途中に相次いで突然死したのだ。その体から魔術の痕跡をかぎとったピーターは、ただちに捜査を開始する。死体はみな古いジャズの名曲《ボディ・アンド・ソウル》を奏でていたのだ! だがその直後、高級クラブの地下トイレで、魔術師とおぼしき男の惨殺死体が発見される。やがて事件の背後に、妖しい魅力をもつ女と黒魔術師の姿が!?


今月(12月)に読んだ最初の本です。
「女王陛下の魔術師」 (ハヤカワ文庫FT)に続くシリーズ第2弾。
「女王陛下の魔術師」を読んだのが2014年1月なので(リンクはこちら)、ほぼ4年ぶりに読んだシリーズです。

設定自体は、パラレルワールドというか、現代のロンドンに、もう一つの神霊世界(?)のロンドンが二重写しにしている世界観となっています。なんといっても、主人公も魔術師(見習い?)ですから。
その中で、事件が起こる。
この第2巻はかなりミステリ色が強いですね。
ジャズ・マン連続殺人事件、というのと、男性器を噛みちぎられて殺される事件。

章題(の多く)が、ジャズやポピュラー・ソングのタイトルとなっています。
本書の原題“Moon over Soho”含め、いずれも歌のタイトルでもおかしくなさそうなものばかりですが、訳者あとがきによると、全部というわけではなさそうです。

前作でかなりダメージを受けた同僚レスリーの容態がかなりひどそうで心配です。
ピーターの師匠であるナイチンゲールもあんまり具合よくなさそう。
というわけで、本書ではかなりピーターが独りで捜査していきます。
かなりハードボイルドに近づいた作品だな、と感じました。
こういう感じも楽しく読めますね!
レスリーとの関係性が変わりそうな気配で幕を閉じるので、続編が楽しみです。

シリーズはこのあとも順調に訳されていて、といいたいところですが
「地下迷宮の魔術師」 (ハヤカワ文庫FT)
「空中庭園の魔術師」 (ハヤカワ文庫FT)
と出たところで止まっています。原書も続きは出ていなそうで、気がかりです。



<蛇足1>
「“シニステル”とはラテン語で、“左の”という意味だ。生徒たちのばかばかしい冗談で、男女共学にとってそれほどはっきりした教訓になっている。友人の一人が運悪く“右の(デクスター)”という名で呼ばれることを想像してみるといい。どんなに腹をかかえて笑ったことだろう」(173ページ)
というくだりがあります。
まったく意味がわかりませんでした。
こういうところにこそ訳注をつけてもらいたいです。


<蛇足2>
<ヨー! 寿司>で夕食をとったあと(385ページ)、
「日本人の食べ物はとってもおいしいけど、まっとうなケーキの作り方はわかってないみたい」(388ページ)
というセリフが出てきます。
<ヨー! 寿司>というのは、<YO! SUSHI>という実際にあるレストランですね。ロンドンのSOHOからスタートしたもので、いまやあちこちにあるようです(上の<YO! SUSHI>にホームページのリンクをはっておきました)。
しかしなぁ、ここの料理、和食あるいは日本食といわれて素直にはうなずけませんね...料理名はともかく、似て非なるもの、という感じです。
ここのデザートを食べて、日本人は「まっとうなケーキの作り方はわかってない」と言われてもちょっと困ります。困るというか、憤慨します!
だいたいイギリスはデザートもただただ甘いだけだったりして壊滅的にまずいくせに...



原題:Moon over Soho
作者:Ben Aaronovitch
刊行:2011年
翻訳:金子司

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