マスカレード・ホテル [日本の作家 東野圭吾]
<裏表紙あらすじ>
都内で起きた不可解な連続殺人事件。容疑者もターゲットも不明。残された暗号から判明したのは、次の犯行場所が一流ホテル・コルテシア東京ということのみ。若き刑事・新田浩介は、ホテルマンに化けて潜入捜査に就くことを命じられる。彼を教育するのは、女性フロントクラークの山岸尚美。次から次へと怪しげな客たちが訪れる中、二人は真相に辿り着けるのか!? いま幕が開く傑作新シリーズ。
今月(12月)に読んだ3冊目の本です。
あらすじには新シリーズと書いてありますが、この文庫本の奥付は2014年7月なのでもう3年以上前の本です。ちなみに単行本が出たのは2011年9月みたいなので6年以上前ですね(笑)。
舞台となっているホテルの名前は、マスカレード・ホテル、ではなくて、コルテシア東京、です。
それなりの(値段と)格式のあるシティ・ホテルという設定のようです。
コルテシアというのは、スペイン語のようですね。サービス、というような意味らしいです。
タイトルのマスカレードはポップスの歌詞等でもおなじみで、仮面舞踏会という意味ですが、
「昔、先輩からこんなふうに教わりました。ホテルに来る人々は、お客様という仮面を被っている。そのことを絶対に忘れてはならない、と」
「ホテルマンはお客様の素顔を想像しつつも、その仮面を尊重しなければなりません。決して、剥がそうと思ってはなりません。ある意味お客様は、仮面舞踏会を楽しむためにホテルに来ておられるのですから」(410ページ)
というせりふあたりからとられたものですね。
連続殺人事件の次の現場となることが想定されるホテルを舞台に、潜入捜査をする刑事とそのお目付け役(?)のホテルマン(ホテルウーマン)が主役です。
マスカレードという通り、いろいろなお客様がいらっしゃるシティ・ホテルなので、そういうエピソードがふんだんに盛り込まれていて楽しいです。
これだけでも十分楽しく、ハラハラできる作品なのですが、ミステリとしても斬新なアイデアが盛り込まれていると感心しました。
つながりのわからない連続殺人、となるとミステリを読み慣れた読者は、ミッシング・リンクもの? 「ABC殺人事件」 ? と考えながら読むと思うんですが、この「マスカレード・ホテル」 のような処理の仕方、使い方って、見たことがないような気がします。
良くあるアイデアを一ひねりしただけ、と言えるかもしれませんが、そこはコロンブスの卵。
そしてこのアイデアを物語化するのに、いろいろなエピソードを盛り込むことができるホテルという舞台はぴったりだったと思います。
さすがは東野圭吾と言いたくなる腕の冴え。プロットが素晴らしくよくできているなぁ、と感動しました。
タグ:マスカレード・ホテル 東野圭吾
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