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踊る人形 [日本の作家 森川智喜]

踊る人形 (講談社文庫)

踊る人形 (講談社文庫)

  • 作者: 森川 智喜
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2016/02/13
  • メディア: 文庫

<裏表紙あらすじ>
身体を自在に着脱できる人形男がどこまでも追ってくる!  目的は、自分の生みの親である博士にもう一体動く人形(ゴーレム)を作らせること。これに対し少年探偵隊は、唯一の弱点である頭部内の「命を生む紙」を入手しようとする。しかし、ようやく目にしたのは聞いたのとはまったく違う文字だった!  周到な論理によって構築された極限状況ミステリ。


前作「スノーホワイト」 (講談社文庫)(感想ページへのリンクはこちら)を読んでからずいぶん間が空いてしまいましたが、森川智喜の三途川理シリーズ第3作です。
今回は、人造人間、ですね。
泥人形なのですが、ちゃんと生きている。しかも、身体のパーツをばらばらにできて、しかもそれぞれちゃんと機能する。なんてすごい生物!

語り口が、です・ます調になっていまして、主人公古沢君が小学生ということで、おのずと江戸川乱歩の「少年探偵団」 (ポプラ文庫クラシック)シリーズを彷彿とさせます。
古沢君は、三途川理が組織した(?) 少年探偵隊のメンバーです。ここ、どうして少年探偵団と呼ばなかったんでしょうね?

さておき、少年探偵隊である古沢君と人形男との対決が軸になっていくのですが、三途川理は京都で連続殺人事件を捜査しているとかで出てきません。
三途川理が登場するのは、ようやく175ページになってから。物語も後半です。
この作品は三途川理が登場してから急展開を見せます。

これこそがこの作品のポイントなんじゃないかと思いました。
なので、この部分を除くと、残りはかなり軽い感じです。
たとえば、あらすじにも書かれている人形男頭部内の「命を生む紙」をめぐるエピソードなど、いくつも先行作があり(最も古い作例はエラリー・クイーンの短編でしょうか?)、ちっとも感心できません。
とはいえ、これは「少年探偵団」シリーズを意識した結果だとも思えますから、これはこれで認めなければならないのでしょうね。
また、ポイントの三途川理が登場してからの急展開には、たっぷり満足させられました。もう、なんてこと考えるんだ、森川智喜は!
相変わらず変なことを考える作家だなぁ、と思いましたが、「スノーホワイト」 (講談社文庫)と合わせて考えると、名探偵とされている三途川理の使いかたこそがこのシリーズの本質なのかも、と思いました。
このあと、続く
「ワスレロモノ 名探偵三途川理 vs 思い出泥棒」 (講談社タイガ)
「トランプソルジャーズ 名探偵三途川理 vs アンフェア女王」 (講談社タイガ)
「バベルノトウ 名探偵三途川理 vs 赤毛そして天使」 (講談社タイガ)
を読んでみないと、考えが当たっているかどうかはわかりませんが、当たっているといいなぁ。


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