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山手線探偵2: まわる各駅停車と消えた初恋の謎 [日本の作家 七尾与史]


山手線探偵2: まわる各駅停車と消えた初恋の謎 (ポプラ文庫)

山手線探偵2: まわる各駅停車と消えた初恋の謎 (ポプラ文庫)

  • 作者: 七尾 与史
  • 出版社/メーカー: ポプラ社
  • 発売日: 2013/02/05
  • メディア: 文庫

<裏表紙あらすじ>
神出鬼没の山手線探偵・霧村雨。小学生助手のシホと自称ミステリ作家のミキミキさんと一緒に、今日も難事件に挑む!メイドカフェで依頼された今回の調査内容は『初恋の想い人』捜し。しかし山手線探偵のニセモノ出現により、思いもよらない未解決殺人事件に繋がっていく……。


先日の「シャーロック・ホームズの不均衡」 (講談社タイガ)(感想ページはこちら)がそうでしたが、感想を書けずじまいだったものの落穂拾いもしていきたいと思っています。
この「山手線探偵2: まわる各駅停車と消えた初恋の謎」 (ポプラ文庫)もそんな一冊。読了本落穂拾いその2です。

「山手線探偵 まわる各駅停車と消えたチワワの謎」 (ポプラ文庫)(感想ページはこちら)に次ぐシリーズ第2弾。

相変わらず目次がかわいいです。山手線の路線図(?)。
今回ページ順に並べ替えると
目白駅→新宿駅→秋葉原駅→東京駅→巣鴨駅→渋谷駅→鶯谷駅→目黒駅→日暮里駅→高田馬場駅→五反田駅→品川駅→巣鴨駅→原宿駅
の順です。

「山手線探偵 まわる各駅停車と消えたチワワの謎」のエンディングで「国家の存亡がかかっておる」なんて、ジジイに次の事件を依頼されていたというのに、おばあちゃんの初恋の人探しを依頼されます。静岡県の天竜川上流に位置する龍墓村での、太平洋戦争末期の思い出。
「国家の存亡」の顛末は136ページで知ることになりますが、おいおい、七尾さん、そりゃインチキだよ。そんなのを前巻のエンディングに使うんじゃない!!
この人探しは、過去の殺人事件につながり、この第2巻は、一つの物語を追いかける形で、その事件を解決することとなります。

子供向けを意識して書かれているのでしょうから、あまりあれこれ指摘するのも無粋ということですが、真相が平凡すぎるのは大きな難点だと思ってしまいます。
龍墓村(このネーミングもどうかと思いますけど、そこは七尾与史ならOKとしないといけないのでしょう)の風習を背景に、衝撃の真相、なのではありますが、もうミステリではさんざん書かれてきた展開になってしまっていまして、オープニング早々真相に気づく人がほとんどではなかろうかと。
その分、思わせぶりな部分とか伏線であるとかがわかりやすく、そこを拾っていく楽しみはあるのですが。

さて、なにはともあれ、次の「山手線探偵3: まわる各駅停車と消えた妖精の謎」 (ポプラ文庫)が最終巻のようです。
「シホと霧村さんの出会いのきっかけとなったあの事件」が出てくるのでしょうけれど、シリーズはどう着地するのかな?





<蛇足1>
「シホが嵐組の神田くんの写真集を眺めている間、桐村さんは『殺戮ガール』なる文庫本を立ち読みしていた。」(145~146ページ)
ちゃっかり宣伝しているところが、すごいですね。

<蛇足2>
「二人ともかなりの映画通らしく、霧村さんは『存在の耐えられない軽さ』、ミキミキさんは『ゆきゆきて、神軍』がイチ推しだという。」(214ページ)
ある意味渋い選択ですが、
「シホは二人がオススメする映画のタイトルをそっとノートにメモした。卒業文集の『好きな映画』欄にこの二つを書くのだ」(214ページ)
というのは、やめておいたほうがいいと思うよ、シホくん。

<蛇足3>
「父さんが特攻隊に志願したんだ。」(111ページ)
当時のこと、知らないのですが、特攻隊って、志願すればホイホイなれたのでしょうか? 
人手不足であったからなれたのかも、ですが、そうはいっても飛行機乗りだから訓練も必要だろうに。もともと徴兵されていたという設定だから、そういう風に訓練されていたのかな?
さらに
「僕も父さんについていく。一緒に零戦に乗せてもらうんだ」(111ページ)
というのは、さすがにあり得ない話ですよね......



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