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アンデッドガール・マーダーファルス 1 [日本の作家 青崎有吾]


アンデッドガール・マーダーファルス 1 (講談社タイガ)

アンデッドガール・マーダーファルス 1 (講談社タイガ)

  • 作者: 青崎 有吾
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2015/12/17
  • メディア: 文庫

<カバー裏あらすじ>
 吸血鬼に人造人間、怪盗・人狼・切り裂き魔、そして名探偵。異形が蠢く十九世紀末のヨーロッパで、人間親和派の吸血鬼が、銀の杭に貫かれ惨殺された……!? 解決のために呼ばれたのは、人が忌避する“怪物事件”専門の探偵・輪堂鴉夜(りんどうあや)と、奇妙な鳥篭を持つ男・真打津軽(しんうちつがる)。彼らは残された手がかりや怪物故の特性から、推理を導き出す。謎に満ちた悪夢のような笑劇(ファルス)……ここに開幕!


「体育館の殺人」 (創元推理文庫)(感想ページはこちら)からはじまる裏染シリーズの作者、青崎有吾による2015年に始まった新シリーズ。
「アンデッドガール・マーダーファルス 2」 (講談社タイガ)
「アンデッドガール・マーダーファルス 3」 (講談社タイガ)
と続けて出ていまして、これで完結なのかな?

序章に続いて、
第一章 吸血鬼
第二章 人造人間
となっていまして、連作のような建付けになっています。
これからもこういう形で、次々と異形のもの(?)を登場させるのでしょうか?

青崎有吾らしく、手がかり、小道具の使い方がとても鮮やかです。

第一章の銀の杭の扱いなんて、ほれぼれしますね。
吸血鬼が銀の杭と聖水が苦手、というのもしっかり謎解きに組み込まれています。

第二章もフランケンシュタインのような人造人間らしく、グロテスクな真相・トリックなのに、(ロジックが)美しいと思ってしまう。

「まあ“人間”がどうあるべきかについて私やあなたが語るなんて、実に馬鹿馬鹿しい笑劇(ファルス)ですけどね」(67ページ)
をはじめとして、何度も笑劇(ファルス)という表現が出てきますが、悲劇でもあり喜劇でもある物語かと思います。
それは、主人公たちの設定にも表れています。
(途中である程度明かされますが、エチケットとして伏せておくべきかと思います。また、全貌は未だ明らかになっていないと思います。)

フランス、ベルギーときて、舞台はロンドンにうつるようです。
楽しみです。


<蛇足1>
「パリからおよそ四百キロ東、スイスとの国境を間近に望む街ジーヴルは、フランス当部鉄道の終着点である。」(17ページ)
パリは、フランスの中ではかなり北に位置していまして、東にいくとスイスではなくドイツになります。あれ?

<蛇足2>
「いつもみたく、読書中にうたた寝してしまったのだろうと思った。」(27ページ)
「空中でぎょっと顔を固まらせた津軽は、おもちゃみたく瓦礫の中に叩きつけられた。」(284ページ)
「みたく」が小説の地の文に使われる時代がやってきた、ということですね。

<蛇足3>
「私を落ち着けるために、アルフレッドが入ってきました。」(66ページ)
ここは「落ち着かせる」ではないでしょうか?

<蛇足4>
「どうせならアイスクリームを買ってきてくれ」
「冬なのにアイスですかあ?」
「なかなか乙だろう。それにあれは日本じゃあまり食べられん」
「はいはい」
「コーンポタージュ味がいいな」
「そんな味のアイスは百年たっても作られないでしょうよ」(201ページ)
青崎有吾、遊んでいますね(笑)。

<蛇足5>
「テーブルの上に並べられているのはジャムを塗ったタルティーヌ、まだ湯気の立っているベーコンとポタージュ、コーヒーポットにサラダボウルなど。二人分の朝食だ。」(200ページ)
タルティーヌがわからず調べてしまいました。
スライスしたパンに具材をのせた、フランス生まれのオープンサンドのこと。という説明もありますが、wikipedia によれば
『動詞「フランス語: tartiner」(「パンにバターやジャムなどを塗る」の意)に由来する[1][4]。
パン、バゲットをスライスしたものに何かを塗ったものをタルティーヌと呼ぶ。塗るものはバター、ジャム、クリームチーズ、スプレッドなど種類は問わないし、バターとハチミツのように複数を塗ってもよい。』
ということで、こちらが近そうですね。

<蛇足6>
「黄金餅です」
「……なるほど、おまえにしては冴えた意見だ」
 コガネモチ? とアニーや警部たちは首をひねったが、師匠には伝わったらしい。(235ページ)
落語「黄金餅」ですね。渋いヒントの出し方をする弟子?です。
そりゃあ、外国人にはわかりません。というか日本人にもわかりにくいよ!




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