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ブラックベリー・パイは潜んでいる [海外の作家 ジョアン・フルーク]


ブラックベリー・パイは潜んでいる (ヴィレッジブックス)

ブラックベリー・パイは潜んでいる (ヴィレッジブックス)

  • 出版社/メーカー: ヴィレッジブックス
  • 発売日: 2016/10/31
  • メディア: 文庫

<カバー裏あらすじ>
母ドロレスの結婚式の準備で振り回されっぱなしのハンナたち。そんなある日、激しい雷雨のなか車を運転していたハンナが事故を起こしてしまう。そのそばの路上には見知らぬ男性の死体が…。検死の結果、ハンナの車にはねられたことが死因だという衝撃の事実が判明する。身元不明の男性はいったい何の目的でレイク・エデンにやってきたのか―妹の夫に逮捕を突きつけられてしまったハンナ、絶体絶命!?


今年6月に読んだ3冊目の本です。
「レッドベルベット・カップケーキが怯えている」 (ヴィレッジブックス)(感想ページはこちら)に続く、レイク・エデンでクッキー・ジャーを運営しているハンナが探偵役をつとめるお菓子探偵シリーズ第17弾です。
だいぶぼけていまして(いつものことですが)、第18弾の「ダブルファッジ・ブラウニーが震えている」 (ヴィレッジブックス)を先に読み始めてしまい、途中でおかしいな、と気づいていったんやめて、この「ブラックベリー・パイは潜んでいる」 (ヴィレッジブックス)を手に取りました。

あらすじにも書いてありますし、帯にも
「ハンナに逮捕状!?
 これは現実なの?
 まさかわたしが人を死なせてしまうなんて……。」
とありまして、ハンナが人殺し? というびっくりの展開です。
自動車事故のようですが、ショッキングです。

この騒動が物語の大半を占めますが、このエピソードは「ブラックベリー・パイは潜んでいる」では完結せず、次の「ダブルファッジ・ブラウニーが震えている」 に続くようです。

もう一つ、ミシェルの友人から持ち込まれた相談事が扱われます。
それは、失踪(家出)から戻ってきた姉が別人だ、というもの。
ミステリ的にどうこういう話ではありませんが、なかなか魅力的な話になっていました。

シリーズ的には、ドロレスの結婚式の準備が大騒動で、にぎやかなうちに次巻に続きます。
シリーズはこのあとも快調に翻訳が進んでいます。
「ダブルファッジ・ブラウニーが震えている」 (ヴィレッジブックス)
「ウェディングケーキは待っている」 (ヴィレッジブックス)
「バナナクリーム・パイが覚えていた」 (mirabooks)
「ラズベリー・デニッシュはざわめく」 (mirabooks)


<蛇足1>
「これまで出会ったなかで最高のひとりに数えられるシェフなのだ」(52ページ)
どうもひっかかる表現ですね。
ひとり、でも、数えられる、というものか?
また「最高のひとり」もよくある表現ですが、最高が複数というのもおかしな話です。
英語の表現に対して使われる「最上級」という語は、かなりミスリーディングなので変えてほしいですね。

<蛇足2>
「ハンナは一瞬、ドットなら個人的な会話をこっそり聞けるだろうから、殺人事件の調査でどんなに役立つことかと思った。ハンナもリサも<クッキー・ジャー>でこのわざを使っていたが、ここでも収穫はありそうだ。つぎに殺人事件を調査するときは、ドットの協力を仰ぐべきかもしれない。」(87ページ)
こらっ、ハンナ!
起こってもいない殺人事件の捜査をたくらむんじゃない
そんなことだから、周りも心配し、注意するんだよ。
度し難い素人探偵です(笑)。

<蛇足3>
「男性の死は従来の殺人によるものではないが、ハンナは過失運転による殺人罪で逮捕されたのだ。」(140ページ)
アメリカの法制度がどうなっているのかわかりませんが、過失運転で”殺人”と称されるのは違和感がぬぐえません。
「従来の」殺人というのも変な表現ですね。

<蛇足4>
「彼に起訴する権利があるのは認めるわ、でも、かんべんしてよ、ハウイー! あれは軽減事由だったわ」(152ページ)
さらっと軽減事由なんて語が飛び出してびっくりしました。
日本の法律用語的には、減軽というようですね。「法に定めてある法定刑よりも軽い刑を適用すること」
アメリカではこういう語が普通の会話に出てくるのでしょうか?


<蛇足5>
「ごみを捨てるために車を路肩に寄せたくないの。ホームレスに出会ったら、あげればいいでしょう。」
「でも……彼らはすでにホームレスなのよ。その上アンドレアのサンドイッチをたべさせるなんて、過酷すぎるわ。」(346~347ページ)
アンドレアが作ったサンドイッチをめぐって、ハンナとドロレスが交わす会話ですが、どれくらいまずいんでしょうね、アンドレアのサンドイッチは??



原題:Blackberry Pie Murder
著者:Joanne Fluke
刊行:2014年
訳者:上條ひろみ




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