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レッドベルベット・カップケーキが怯えている [海外の作家 ジョアン・フルーク]

レッドベルベット・カップケーキが怯えている (お菓子探偵)

レッドベルベット・カップケーキが怯えている (お菓子探偵)

  • 出版社/メーカー: ヴィレッジブックス
  • 発売日: 2015/10/30
  • メディア: 文庫

<カバー裏あらすじ>
むしむしした暑さが続く6月。どこよりも熱いレイク・エデンのゴシップ・ホットラインにも驚きのニュースが飛びこんできた。なんと悪女ベヴが、資産家の婚約者として町に戻ってきたのだ!  美しく変身した彼女はノーマンにまだ未練があるようで、気が気じゃないハンナ。そんな折、ベヴたちの超高級コンドミニアムで謎の落下事件が発生する。さらに、ハンナとお手製カップケーキを巻きこむ第二の事件がーー。


この「レッドベルベット・カップケーキが怯えている」 (ヴィレッジブックス)から7月に読んだ本の感想です。
「シナモンロールは追跡する」 (ヴィレッジブックス)(ブログの感想ページへのリンクはこちら)に続く、お菓子探偵シリーズ第16弾。

あらすじにもある、べヴがレイク・エデンにやってきて巻き起こす騒動(?) に加えて、前作「シナモンロールは追跡する」で積み残された、運転手が死んだ事件もちゃんと決着します。
なんですが、ちょっと理解が追いついていない部分があります.......

「クレイトンは薬のボトルを持ち歩かずに、ピルケースに薬を入れていた。ミネアポリス市警は、彼が出かけるまえに仕切りに薬を詰めたと結論づけ、バスルームの薬棚でボトルを見つけた。三十日ぶんの薬がはいるボトルが三本だ」
「あててみましょうか」ハンナはため息をついて言った。「心臓の薬のボトルの中身が二錠足りなかった。あとの二本のボトルはそれぞれ一錠ずつ多かった。それでミネアポリス市警はクレイトンの死を自殺だと断定したのね」
「そのとおり」(53ページ)

ここがわかりません。
三種類の薬はそれぞれ形も色もちがったので、間違うはずがないから、本人がわざと間違えた(故意に違う薬を飲んだ、ほかの薬を故意に飲まなかった)と判断した、ということでしょうか?

この自殺という判断のために保険金が下りず、遺された息子のためにこの判断をひっくり返そう、とするわけですが、290ページからの、この事件の謎解き、これでいいんでしょうか?
今一つ、すっきりしない決着なんですよね。

さておき、この「レッドベルベット・カップケーキが怯えている」では、あらすじにある落下事件に加えて(落下事件では被害者は入院するものの、死にません。)、殺人事件も発生します。
その被害者が、なんとベヴ!
やりましたね、ジョアン・フルーク。こんなかたちで、ハンナ、ノーマンの邪魔者を始末するとは!

ハンナが第一発見者で、容疑者になって取り調べを受ける、という流れは、王道中の王道ですが、わりとあっさり容疑は晴れますし(当たり前!)、今回はいつもよりも、ハンナが推理を働かせているように思いましたが、いつもどおり、するすると謎が解けてしまう段取りは、うまくいっているように思いました。

シリーズ的には、中盤で1つ、ラストで1つ、人間関係に転機が訪れるシーンがあって、次はいよいよハンナの番か!? と期待も膨らむところですが、さて、どうでしょうね?
シリーズはこのあとも快調に翻訳が進んでいます。
「ブラックベリー・パイは潜んでいる」 (ヴィレッジブックス)
「ダブルファッジ・ブラウニーが震えている」 (ヴィレッジブックス)
「ウェディングケーキは待っている」 (ヴィレッジブックス)
「バナナクリーム・パイが覚えていた」 (mirabooks)



<蛇足1>
ハンナが、携帯の新しい充電器を買ってしばらくはちゃんと充電するのに、すぐに充電し忘れるようになってしまうことに対して、マイクがアドバイスします。
「慣れのせいだよ。新しい場所に移動させてごらん。すると気づくようになる。そこでも効果がなくななったら、また移動させるんだ。何かを見るのに慣れると、もうそこになくなるまで、あるのが当然だと思うからね」(333ページ)
これ、どうでしょうかね? むしろ、どこに充電器を置いたのか忘れてしまうんじゃないでしょうか??

<蛇足2>
「わたしといっしょにシャンパンを飲んでくれないってこと?」ハンナの声には明らかに驚きがあった。(115ページ)
これ、視点人物はハンナなのに、ハンナの発言に対して「明らかに驚きがあった」と視点がぶれていますね。

<蛇足3>
「イタチです。オコジョと呼ぶ人もいますね。」(403ページ)
イタチとオコジョ、同じなんでしょうか? あれ??
「イタチですって!」ミシェルが叫んだ。「バーバラが怖がったのも無理はないわ。イタチって醜いもの」
「それにあの巨大な影。あれを見たときはわたしも怖かったわ。」(404ページ)
イタチのイメージが全然違う.....そんなに巨大で、醜い生き物でしたっけ?


原題:Red Velvet Cupcake Murder
著者:Joanne Fluke
刊行:2013年
訳者:上條ひろみ





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