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スマホを落としただけなのに [日本の作家 さ行]


スマホを落としただけなのに (宝島社文庫 『このミス』大賞シリーズ)

スマホを落としただけなのに (宝島社文庫 『このミス』大賞シリーズ)

  • 作者: 志駕 晃
  • 出版社/メーカー: 宝島社
  • 発売日: 2017/04/06
  • メディア: 文庫

<カバー裏あらすじ>
麻美の彼氏の富田がスマホを落としたことが、すべての始まりだった。拾い主の男はスマホを返却するが、男の正体は狡猾なハッカー。麻美を気に入った男は、麻美の人間関係を監視し始める。セキュリティを丸裸にされた富田のスマホが、身近なSNSを介して麻美を陥れる狂気へと変わっていく。一方、神奈川の山中では身元不明の女性の死体が次々と発見され……。


2017年の『このミステリーがすごい! 』大賞・隠し玉作品です。
前年の第15回『このミステリーがすごい! 』大賞の応募作品を改稿したものです。
ちなみにこのときの大賞受賞作は岩木一麻「がん消滅の罠 完全寛解の謎」 (宝島社文庫)(感想ページはこちら

この「スマホを落としただけなのに」 (宝島社文庫)は、映画化もコミカライズもされている話題作ですね。
人気だったようで、シリーズ化されてもいます。

タイトルでも明らかなように、スマホを落とした結果、悪意ある人物に拾われてしまい、難事に巻き込まれる、というわけです。
スマホだけからどうやって、という部分は、それほど特筆すべきところはありません。
ネット社会ならではという感じでクラッキングにより情報を入手していくわけですが、そういう手口はネットでもさんざん書かれていますし、目新しいところも、ひねりもありません。
解説で「ラストで待っている驚天動地のトリックには、誰もが目を疑うだろう」と書かれているのですが、えっと、そんなのありましたっけ?
驚くところは、どこにもなかったような。

本書の魅力はサプライズにあるのではなく、いわゆるジェットコースターノベルを目指したところにあるのではないかと思います。
謎も仕掛けも語りも軽いかわりに、ちょっぴりセンセーショナルで、ぐんぐん読める駆動力ある物語。

ところで、五十嵐貴久による解説がすごいですよ。いきなり
「予言しておく。本書によって、日本のミステリーは劇的に変わる。
 十年後、出版に携わる者、もちろん読者、そしてあらゆる階層の者たちが『志賀以前』『志賀以降』というタームで、ミステリーというジャンルを語ることになるだろう。」
ですから。
本書が出たのが2017年だから、あと5年ですか。そうなるかどうか、楽しみに待ちましょう。


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