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ハナシはつきぬ! [日本の作家 田中啓文]


笑酔亭梅寿謎解噺 5 ハナシはつきぬ! (集英社文庫)

笑酔亭梅寿謎解噺 5 ハナシはつきぬ! (集英社文庫)

  • 作者: 田中 啓文
  • 出版社/メーカー: 集英社
  • 発売日: 2013/12/13
  • メディア: 文庫

<カバー裏あらすじ>
弟子入りして三年が過ぎても竜二は師匠の梅寿にいいように使い回され、落語の修業もままならない。そんなある日、テレビ番組で放った一発ギャグが大ヒット、たちまち売れっ子タレントになってしまった。とはいえギャグ嫌いの梅寿の目は怖いし、仕事をつめこむ事務所からは落語を封印されて、悶々とする毎日に。ついには自分の名前を冠した番組が決定するが――。青春落語ミステリ、感動の最終巻。


読了本落穂拾いで、2016年4月に読んだ本です。

「ハナシがちがう! 笑酔亭梅寿謎解噺」 (集英社文庫)
「ハナシにならん! 笑酔亭梅寿謎解噺2」 (集英社文庫)
「ハナシがはずむ! 笑酔亭梅寿謎解噺3」 (集英社文庫)(感想ページはこちら
「ハナシがうごく! 笑酔亭梅寿謎解噺4」 (集英社文庫)(感想ページはこちら
につづく第5弾にして、シリーズ最終巻。

もうシリーズもここまでくると完全に若手落語家・梅駆の成長物語に特化しておりまして、謎解きの要素はなく、ミステリではなくなっています。

この「ハナシはつきぬ!  笑酔亭梅寿謎解噺 5」 (集英社文庫)、落語家の成長物語としては大きなうねりを見せます。
あらすじに書いてありますが、梅駆がたまたま出たテレビでやった一発ギャグが注目を集め、一躍売れっ子になってしまうのです。そして落語がしづらい、落語ができない状況になっていく。

シリーズを通してお馴染みになった面々にしっかりと支えられ、難局にどう沈み、どう浮き上がっていくのか、「アホやなぁ」と思いつつ、作者の手に乗せられて、どきどき、ハラハラさせられました。
こんな ”けったいな” 登場人物満載な話でも、クライマックスは感動します。

それにしても、師匠である梅寿が要所要所で締めますね。
揉め事の結果、落語を辞めるなどと賭けた梅駆に対していう
「おのれは……いつもいつも簡単に噺家辞めるとか抜かしよって。わしは、それが気にいらんのじゃ。負けたほうが引退や、ゆう条件でも、ほいほい引き受ける。ひょっと負けたら、二度と落語はでけんのやで。おのれにとって、落語ちゅうのはそんなに軽いもんやったんか。」(378ページ)
というセリフは、とてもいい。

ミステリではない、謎はないと言いましたが、このシリーズ通しての謎として、師匠・梅寿とはいかなる人物か、という大物の謎があります。もっともこれはミステリの謎ではありませんし、それに、こんな謎、いくら巻を重ねても解けるわけがない!

いつか、梅駆と梅寿たちが、帰ってきてくれるとよいのですが。




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