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准教授・高槻彰良の推察 民俗学かく語りき [日本の作家 さ行]


准教授・高槻彰良の推察 民俗学かく語りき (角川文庫)

准教授・高槻彰良の推察 民俗学かく語りき (角川文庫)

  • 作者: 澤村 御影
  • 出版社/メーカー: KADOKAWA
  • 発売日: 2018/11/22
  • メディア: 文庫

<カバー裏あらすじ>
嘘を聞き分ける耳を持ち、それゆえ孤独になってしまった大学生・深町尚哉。幼い頃に迷い込んだ不思議な祭りについて書いたレポートがきっかけで、怪事件を収集する民俗学の准教授・高槻に気に入られ、助手をする事に。幽霊物件や呪いの藁人形を嬉々として調査する高槻もまた、過去に奇怪な体験をしていた――。「真実を、知りたいとは思わない?」凸凹コンビが怪異や都市伝説の謎を『解釈』する軽快な民俗学ミステリ、開講!


2021年9月に購入した際、ドラマ化もされるということで、書店でシリーズが山積みになっていました。
あらすじに民俗学ミステリとありますし、もともと民俗学はミステリと相性もいい。
民俗学を扱ったミステリも好みですし、この際、ということで購入したものです。

第一章 いないはずの隣人
第二章 針を吐く娘
第三章 神隠しの家
と章立てになっていますが、連作短編集のような感じで、それぞれ別のエピソードです。

いやあ、軽い。
キャラクターも設定も軽い。民俗学も軽い。
そしてなにより、扱われている謎が軽い、軽い。
というか、高槻准教授を除いて登場人物たちは不思議がっていますが、どこにも謎らしい謎はありません。
事件(?)の説明を聞く段階で、ほぼほぼ真相が見えてしまう。
正直、ミステリと名乗らないでほしくなるレベルです。

じゃあ、つまらなかったのか、というと、そうではないですね。
楽しく読みました。
これがキャラクター小説の楽しさというものでしょうか? 悪くないですね。
(個人的には、BLテイストが盛り込まれているように感じられてしまうところはやや難ありなのですが、世間受けはすると思われます)

それにしても、
主人公は不思議な能力(?)を持つ青年、
その能力に惹きつけられる大学の美形の先生、
この二人がバディとして謎を解く、
この構図、「死香探偵 - 尊き死たちは気高く香る」 (中公文庫)(感想ページはこちら)に始まる喜多喜久の死香探偵シリーズとまったく同じです。びっくりしました。
どちらかがどちらかのパクリなのか!? とも思うところですが、「死香探偵 - 尊き死たちは気高く香る」 が2018年1月、「准教授・高槻彰良の推察 民俗学かく語りき」 (角川文庫)が2018年11月ですから、偶然ですね、きっと。
人気を集めるような作家、作品はどうしても似たような発想になるということなのかな?



<蛇足1>
「選択肢はココアとコーヒーと紅茶とほうじ茶。紅茶とほうじ茶はティーバッグ使用。ちなみにココアはバンホーテンだ!」(49ページ)
バンホーテンが、なんだか高級そうに扱われていますが、そんなにありがたがるほど高級でしたっけ?
普通のスーパーに普通に売っている普通のブランドではなかったでしたか?

<蛇足2>
「提示された給料は決して悪い条件ではなく、己が懐事情を鑑みた結果、尚哉は高槻の提案を受け入れたのだった。」(65ページ)
毎度のことで申し訳ないですが、「鑑みた」が出てきたのでチェックしておきます。

<蛇足3>
「耳触りの良い声がスマホから流れてくる。」(123ページ)
ついに「耳障り」ではなく「耳触り」という語が創造されているのですね。
次は「目触りの良い」とか言い出すんでしょうね。

<蛇足4>
「鞄から取り出した Suica を改札に滑らせようとして――尚哉は思わず足を止めた。」(125ページ)
Suicaという関東・東北ローカルのものが説明なしに出てきているというのは少々驚きでしたが、じゃあ、他に何と書くのかと考えても思いつきません。ちょっと落ち着かないですが。
それより驚いたのが、「滑らせ」よう、という表現。
あれは滑らせるものですか?
交通機関による窃用では「タッチ」という語が使われますが、「滑らせる」というイメージはないですね。
なんとなく「滑らせる」というと、改札のところにある切符などを入れる穴(スロット)に Suica を入れる様子を連想してしまいました。「滑り込ませる」わけではないので、この想像も適切ではないのですが。








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